6.デンマークでは、赤ちゃんを店の外に放置する!?

最後に、本書のあとがきに綴られている、ちょっと衝撃的なエピソードを紹介します。

アメリカ・ニューヨークで、デンマーク出身のママが、1歳の赤ちゃんを乗せたベビーカーをレストランのウィンドウの外に置いたまま夫と食事をしていたところ、騒動になり、その夫妻は逮捕されたというのです。

赤ちゃんを乗せたベビーカーを店の外に放置することは、日本でも常識はずれの行動といえるでしょう。

しかし実はデンマークでは、一般的に、子どもを店の中に入れるより外の新鮮な空気に触れさせた方が良いと考えられていて、ベビーカーを外に置きっぱなしにするのは、子育て中のママの間では当たり前の行為なのだとか。

本書には他にも、中国のトイレトレーニング事情やマヤ族の子どものお手伝い事情、レバノン系アメリカ人が親族で団結して子育てする姿など、さまざまな国・民族の子育て事情や子育て観が紹介されています。

よく子育てに正解はないといわれますが、おそらく、その国に生きる人々の生活や文化、そして時代に合わせて、子どもやママ・パパにとってより良い方法が、「常識」として選ばれ、人々の間に浸透していくのでしょう。

日本の常識で考えれば、子どもには早寝早起きをさせて、規則正しい生活をさせるに越したことはありません。

しかし、ときには他の国々の子育て事情に目を向けると、視野が広がりますし、子どもの寝る時間が遅くなってしまったときや、うっかり子どもにコーヒーを飲ませてしまったときにも、クヨクヨ気にせずに済みそうですよね。

思考が内向きになりがちな育児中には、こんな本で気分転換してみるのもおすすめです。

参考:『こんなにちがう! 世界の子育てメイリン・ホプグッド著、野口深雪訳、中央公論新社

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。