子どもの好奇心を育てる材料は日常に転がっている!
――確かに大人でもすでにわかっていることに関しては、何かを追求して行くということをしなくなって行きますよね。
ただ、子どもの好奇心を育てるために何をしたらいいのか?がわからないパパママも多いと思います。
村上「実はそんなに特別なことをする必要はないんです。とにかく10歳までは、子どもの好きなことを徹底的にやらせてあげること。
新幹線や花など子どもの好きなものを見に行ったり、世の中にある『なんでだろう?』と思うような現象について親子で話し合ったり……。
あとは、大人の会話を聞かせることも実は有効的だったりするんです。
例えば子どもと映画を観に行く時って、どうしても親は子ども向け映画を選んでしまうと思うのですが、そこであえて大人が見ても楽しめるような映画を一緒に観るなども良いですね。
観たあとにまず、その映画に対してどう考えたか?と言う大人側の意見を子どもに言うことによって、子どもは『なるほど!大人はそう考えるんだ!』と感心して、モノの見方が育つんです。
子どもって背伸びすることが大好きなんですよ。一つ上の世界で育ててあげることによって、好奇心や思考する力を身につけていきます。」
でもやっぱり早めに勉強をさせていないと不安な時は?
――なるほど、日常の中で子どもの好奇心を育てる場面は多く存在するのですね。
しかし、やはりどうしても先取り学習させていないと不安……というパパママはいると思うのですが、そういった不安や焦りを解消できる方法はありますか?
村上「早い時期から中学受験を意識して学習させたいのであれば、理科社会などの暗記科目や、試験問題に出るような国語の記述問題などをやらせるよりも、算数の計算問題や国語の漢字練習など、基礎を繰り返し学習させることをおすすめします。
特に、計算問題の反復は先取りも無駄になりません。
その際、計算問題などは最初に方程式を教えてしまうよりも、しっかり紙に書いて思考させるということをしましょう。
先ほども言ったように、中学受験の8割は基礎です。基礎がしっかりできていれば、残り2割の思考力が問われるような問題を解く力も備わってきますから。
もちろん、算数に関しても計算問題だけしていれば良いというものではなく、しっかりと思考力を養う問題を解くことも大切です。しかし、事前に基礎がしっかりとできていればそういった問題に関する理解も早い、ということですね。
そして、算数ができる子というのは、おのずと理科社会もできるようになるのです。それは単純に、得意な算数の勉強時間が少なくて済むので、理科社会の勉強にも時間を割くことができるというのもありますね。」
――大切なのは、基礎の反復……当たり前のことのようですが、皆さん忘れがちなことですよね。
村上「そうなんですよね。そもそもどこの家庭でも、ハイハイしたら次は立って、そのあと徐々に歩くようになって、という風に子どもを育てる時には段階を踏んで育ててきたはずなんですよ。
人間はいずれ走ることができるようになるとわかっていても、『あなたはいずれ走ることができるんだから、さぁやってみよう!』なんて、まだハイハイの赤ちゃんに言う親なんていませんよね(笑)
でも、基礎学習もそこそこのままどんどん先取って学習をさせるということは、それと同じようなことをしていると考えてください。
中学受験は短いスパンで取り組み、最終ゴールが明確なことによって、そのゴールにばかり目が行きがちになってしまうんですよ。
塾で多くの子ども達を見ていて感じることは、『子どもは誰しも、グンと伸びる時期が必ず来る』ということです。
その時期は、背が伸びる時期と一緒に訪れたり、思春期に訪れたりと、その子どもによって様々ですが、親はそんな子どもの伸びる時期をしっかり見極めて合わせてあげることが大切ですね。」
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先取り学習による弊害……今までこの事実をまったく認識していなかったパパママも多いのではないでしょうか。
今回インタビューした村上綾一さんの著書、『中学受験で成功する子が10歳までに身につけていること』では、他にも目から鱗な中学受験に関する情報がいっぱい!
中学受験のイメージや、子どもに対して親がすべきことなど、今まで頭でっかちに抱いていたものを覆してくれる一冊です。