経済的貧困、破産、倒産など、「滞納」はさまざまな要因と複雑に絡んでいる場合が多く、なかなかスムーズに解決ができないことが多いことから、マンションの管理組合にとっては深刻な問題です。
滞納者が増えるほど、管理組合会計の収支が悪化し、適切な管理や修繕工事、そして大規模修繕工事などが計画通りに行えず、それはまさにマンションの資産価値低下を招きます。
このような問題を抱えるマンションは、全国にたくさんあるのです。
「滞納問題」を解決するには、督促、内容証明、訴訟、競売など、段階をおってさまざまな手段がありますが、管理組合への報告や決議なども必要となり、仮に訴訟を起こし、勝訴になっても、後にちゃんと回収できるかどうかは別問題となるため、解決までには時間が掛かります。
不動産ならぬ「負」動産を買ってしまわないためには、「滞納率の高いマンションは買わない」ことが先決なのです。
そして最後にもう1つ注目して頂きたい事があります。
それは、「修繕積立金額と運用状況」です。
滞納は発生しておらず、修繕積立金額もそれなりに積み上がっている物件は、普通に見れば運営良好のマンションであると判断できますが、以下のようなマンションは注意してください。
・築年数と世帯数に相応する修繕積立金額が積み上がっていない
・定期的に大・中規模修繕工事を入れていない
古くて世帯数が多い割には修繕積立金があまり積み上がっていないマンションは、適切な時期に積立金額の回収額を上げていない可能性があり、今後も必要な時期に必要な修繕工事が出来ず、資産価値低下を招く可能性があります。
そして、定期的に大・中規模修繕工事が行われていない物件は、今後も予定通りに行われるかどうかは分からず、資産価値の維持は期待できません。
修繕積立金額の不足や、管理組合の話し合いがうまくいっていないことが原因として考えられますが、仮に今後工事を実施する際は、各世帯に別途負担を求める可能性もありますから、注意しましょう。
一大決心をして買った大切な「夢のマイホーム」が、不動産ならぬ「負」動産だった…ということにならないよう、購入する際は、目に見える金額や費用だけではなく、今日ご紹介したポイントも注意してチェックするようにすると良いですね。
宅地建物取引士の筆者として、あたなが「価値ある不動産」を手に入れることができるよう、心からお祈りいたしております。
<参考>
・PR TIMES「物件選び、最も重視するポイント第1位は「最寄り駅からの所要時間」」
・マンション総合調査結果