4.まずは子どもの意見を聞いてあげる

辻井「人間は、子どもも大人も、良いことでも悪いことでも、行動した理由があります。子どもにも、子どもなりの考えがあり行動しているので、まずは『何故そうしたのか』の理由を最後まで聞いてあげましょう。

その理由を聞いた上で、良いことは褒める、悪かったことは叱ってあげると、子どもも大人の話をしっかりと聞くようになります。

このとき、注意しないといけないのは、『頭ごなしに怒らないこと』と『子どもの話を途中で遮(さえぎ)らないこと』です。落ち着いた態度でしっかりと子どもの意見を聞いてあげてください」

5.子どもの失敗を怒らない

辻井「子どもだけでなく大人もすべての人間は何かしら失敗をするものです。

例えば数億円の年俸をもらっているプロ野球選手でも、打率は3割台ですよね。10回バットでボールを打ってもヒットは3回ほどで、残りの7回は失敗なんです。

大人でもこれくらい失敗するものなのですから、子どもが失敗するのは当たり前なんです。重要なのは次に失敗しないように一緒に考えてあげることです」

6 自分に矢印を向け見つめなおす

辻井「大人は『思うように上手くいかないのは子どものせいだ』と考えてしまいがちです。そんなときには『自分はこの子に何をしてあげられたのだろう?』と自分を見つめなおしてください。

そうすればあなた自身の悩みや問題点が見えてくるはずです。子どものせいだけにするのではなく、自分自身にも何ができていて、何が足りないのかを考えてみてください」

そして辻井さんは、次のようにまとめます。

辻井「このようなことに注意しながら、子育てしていくと子どもは自ずと『学ぶ』ことを覚え、はっきりと自分の意志表示が出来る子に育っていくのです」

自主性・主体性を持った人間に育つために

ガミガミ怒る子育てから脱したら、どんな子育てを行っていくといいでしょうか。辻井さんの考えを教えていただきました。

辻井「私は、自分の2人の子どもをはじめ、私と関わってくれたすべての子どもには、『自主性・主体性を持った人間』に育って欲しいと思っています。

誰かに指示されるまで何もできない人間ではなく、自らの考えで行動し、未来を切り拓いていける人間になって欲しいのです。その力を子どもの頃から養うことにより、将来、社会で必要とされる人材に成長できるでしょう。

そのためには、まず簡単なことから、自分でも目標を立ててクリアしていくことを習慣付けることをおすすめします。無理な目標設定はせず、少し先・少し上の課題をクリアすることで失敗を恐れないようになるでしょう。

また、子どもは勉強だけでなく遊びの中でもさまざまなことを学んでいきます。

メリハリをつけて、やる時はやる・遊ぶときは遊ぶとし、決して子どもを追い込まないようにしましょう。

そのためには、大人は子どもたちを『信じる・待つ・許す』ことが重要です。『この子はできる』と信じ、できるまで根気よく待ち、失敗をしても許す。

この経験を繰り返していると、子どもは失敗を恐れることなく、自ら何にでも挑戦し課題をクリアできる人間へと成長します。そうなれば、親がガミガミ怒る必要もなくなりますよ」

ガミガミ怒ってしまう罪悪感を抱えていたママはもちろん、子どもに対する接し方に困っていたママも、大きなヒントになりそうです。ぜひ参考にして、取り入れてみましょう。

【取材協力】辻井 靖人さん
家族療法カウンセラー office12代表、東大阪青少年スポーツ育成クラブ理事長など
花園ラグビー場を擁するラグビーの町・東大阪市に生まれ育ち、自らが選手・コーチとして長年経験してきたラグビーの精神(自主性を重んじ、強くたくましく生きる精神)が現代教育に必要との想いから、社会教育団体としてNPO法人東大阪青少年スポーツ育成クラブを開業。ラグビー歴は現役・コーチ合わせて26年。