子どもの「虫歯」は減少傾向にあります。とはいえ、文部科学省の調査では、幼稚園で約36%、小学生で約49%の子どもに虫歯あり、となかなかの高比率。
また、生活習慣病のひとつとされる「歯周病」の有病率は、30~50代で8割、60代で約9割と、驚くほど高いことがわかります。
歯の健康が全身の健康と関係していることが、最近わかってきています。毎日おいしく食べられるのは、丈夫な「歯」があってこそ。超高齢化の時代、子どもから大人まで、ますます歯の健康管理が求められるようです。
注意したい「砂糖」「酸」「やわらかい加工食品」
虫歯は「文明病」とも言われるほど、食生活と深いかかわりがあります。
日本では1960年代頃から、虫歯人口が急激に増加。その要因のひとつとして、食生活の欧米化や加工食品の普及などにより、砂糖ややわらかいものをたくさん食べるようになったことが指摘されています。
動物園のサルは野生のサルと比べて4倍も虫歯が多い、といった調査報告もあることから、現代は虫歯になりやすい食環境にあるといえます。
砂糖が虫歯の原因になることはよく知られていますが、ある食品が虫歯をつくりやすいかどうかは、糖分の量や食品の粘着性、食べている時間などに左右されます。
糖分の量が同じでも、口の中に長く残ってしまうと、より虫歯ができやすい状態になるようです。
『0歳からの口腔育成』には、虫歯のつくりやすさ(う蝕誘発能)を示す数値は、「ビスケット・チョコレート<カステラ・甘納豆<ウエハース<キャンディ<キャラメル」といった順に高くなると示されています。
砂糖のほかに注意が必要なのが「酸」です。食品に含まれる「酸」の作用により歯が溶けてしまう「酸蝕症」の原因になります。
「コーラを飲むと歯が溶ける」という話は誇張ではなく、実際に、歯をコーラに1週間つけておくと、完全に歯が溶けてしまうようです。
コーラのほかにも、甘い炭酸飲料やスポーツドリンク、かんきつ系のジュース、果汁分の多い野菜ジュースなど、酸が強いものを口に長く含みながら飲んだり、ペットボトルなどでちょこちょこ頻繁に口にすることは、歯が溶けるリスクを高めることにつながります。
また、『イラスト版 歯のしくみとケア―子どもとマスターする健康な歯の育て方』によれば、加工食品は低分子の栄養素を豊富に含んでいるため、口の中のさまざまな隙間に入り込んで長時間とどまり、結果、口の中で細菌が繁殖しやすい環境をつくるといいます。
加工食品にはやわらかいものが多いため、よく噛まずに食べる傾向にもなりがち。噛む回数が少ないと、あごの発達にも影響してきます。
「食物繊維」「清掃性食品」をよく噛んで食べると口の中がきれいに
では反対に、歯によい食べものとは?
子供の生活習慣と虫歯の関連を調べた報告によれば、「虫歯が多い子どもほど野菜をとらない」傾向があるようです。