筆者の息子には重度の食物アレルギーがあります。

幼児期は卵、牛乳は一切ダメ、16歳になった今でもナッツにアレルギーがあり、最近もアナフィラキシーショックを起こしました。

(※アナフィラキシー…アレルギー反応の中でも呼吸困難や血圧低下などの全身的な反応のうち、生死に関わる重篤な症状を伴うものを指す)

今も“エピペン”という注射器を持ち歩いています。

(※エピペン…アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐため患者が自己注射する補助治療薬)


そんな当事者の親の経験から、食物アレルギーの子とそのママとの付き合い方について、『1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。

チーズを食べて死んでしまった女の子

こんな事故がありました。

2012年、東京都調布市の市立富士見台小学校で、小学5年の女子児童が給食を食べた後に体調不良を訴え、搬送先の病院で死亡しました。

女児はチーズなど乳製品にアレルギーがありましたが、その日の給食で出されたチーズ入りのチヂミを食べてしまいました。

女児に最初に出されたチヂミはチーズは除去されていました。しかし、担任教諭が女児がおかわりを求めた時、誤ってチーズ入りのチヂミを渡したことが判明しました。

更に運が悪かったのは、女児はエピペン注射を携帯していましたが、苦しいのは軽い喘息発作を起こしただけと本人が言い、担任教諭が注射を打とうとしたところ女児は拒否しました。

しかしその後、事態は悪化。急変した女児を見て校長がエピペン注射をしました。

しかし、タイミングを逃したエピペン注射は命を救うことが出来ず、悲しいことに女児は給食を食べて僅か15分後には息絶え、救急車が到着した時点で死亡していました。

もし、親がいないところでアレルギー反応が出てしまった場合

こんなことが起こることもあります。

  • 食物アレルギーのある子どもにも関わらず、こちらで用意したおやつに誤って卵が入っていた。
     
  • 子ども同士でおやつ交換をしてしまい、友達の卵入りのおやつを食べてしまった。

もし、重篤な食物アレルギーを持っている子を頻繁に預かる場合は、緊急の時の対応をきちんと保護者に確認しておきましょう。

 

なお、現在エピペン注射は本人や保護者、医療従事者が打つことができます。ただ、実際は苦しんでいる本人が自身で打つことは出来ず、また親も看護師、医師もいないケースがあります。

その場合、エピペンを打つ講習を受けた保育士や幼稚園、学校の先生が打つこともあります。

 

また、親しいママで頻繁に預かる場合は講習を受けておいた方が良いでしょう。

医師でもない人がこれを打つのは怖いと思いますが、先の事故のようにエピペン注射を打たなければ死んでしまうことも起こりうるのです。

 

そして、エピペン注射を打って症状が治まったとしても、救急車を呼んで病院に連れて行きましょう。(※一時的にショック状態から回復しても、時間経過とともに同じことが起こることがあるからです)


命を救う医療機器

AEDも人の命を救うものですが、練習していないと倒れている他人の胸にパッドを当ててボタンを押すことが躊躇われるので、エピペン注射と同じかもしれません。

でも、これも使うことにより救われる命があります。しかも、機器が心臓の除細動を自動的に調べてくれます。

そして、電気ショックが必要ないと判断された場合、ショックボタンを押しても放電されません。ですから、誰でも簡単に使えるのです。