国内で「腰痛」に悩まされている人は、40歳以上で推定2800万人(※)とも言われています。(※参考書籍『腰痛借金 痛みは消える!』)

「腰痛なんてまだ先の話」と思うかもしれませんが、子育てに追われる日々の中では、うっかり、思いもよらない形で腰を痛めてしまう可能性が誰にでもあります。

子育てママ世代の腰痛の主な原因や、対策法について、『腰痛借金 痛みは消える!』の著者であり、東京大学医学部付属病院 特任教授の松平浩医師にお聞きしました。

松平浩(まつだいら こう) 東京大学医学部付属病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座 特任教授。
福島県立医科大学医学部 疼痛医学講座 特任教授(兼務)。

「無防備」な抱っこ、前かがみ姿勢で腰痛借金がふくらむ

日常生活の中では、自分の体重を支えるため、常に骨関節や筋肉に負担がかかり続けています。同書では、この蓄積された負担を「腰痛借金」というキーワードで説明。

「腰痛借金」が増えれば増えるほど、腰痛を引き起こすリスクが高まり、より重い痛みを抱えることにつながってしまうといいます。

子育てママ世代で「腰痛借金」が増える、一番の要因は何なのでしょうか。

松平浩医師(以下、松平)「一番は『抱っこ』です。『無防備な状態』で持ち上げると、腰痛借金がたまって事故が起きやすくなります。腰痛借金の中でも、この世代でメインとなってくるのは『背骨』にたまる借金、椎間板にかかる負担です」

椎間板とは、背骨の骨と骨の間にあり、クッションのような役割をしている部分。

日常の何気ない動作や姿勢によって生じる「椎間板を押しつぶす下方向の力(椎間板圧縮力)」は、背骨に腰痛借金がたまる原因になります。この椎間板圧縮力は、大きくなればなるほど、椎間板への負担も大きくなります。

【椎間板圧縮力の大きさ】

○ リラックスして立つ:90kg重
○ おじぎをしている:200kg重
▲ 腰の2大事故を起こす危険水域:340kg重
× 腰をかがめて20kgを持つ:420kg重

(※「kg重」=力の大きさの単位。1kg重は、質量1kgの物体に働く標準重力の大きさ)

腰をかがめて“無防備に”20kgのものを持ち上げた場合、「ぎっくり腰」や「椎間板ヘルニア」など、腰の2大事故を起こす危険水域をはるかに超えた力がかかるため、腰痛借金が一気に増えてしまうことになるのです。

また、おむつ交換などで「前かがみ姿勢」を続けることも、腰に大きな負担となります。

椎間板の中には髄核(ずいかく)という物質があり、通常良い姿勢でいるときには、髄核は椎間板の中央に位置しています。

『腰痛借金 痛みは消える!』より

ところが、前かがみ姿勢を続けていると、椎間板に偏った負担がかかることにより、この髄核が中央の位置からずれ、背中側に移動してしまいます。

この状態は「腰痛借金のある状態」であり、借金が積み重なると、腰の2大事故が起きるリスクを高めることになります。


『腰痛借金 痛みは消える!』より

ストレスや不安があると姿勢バランスが崩れ、腰痛借金をためやすくなる

また、「ストレス」も腰痛借金が増える要因に。