運動でも勉強でも、得意なことはやる気が出るので頑張れます。
反対に苦手なことを克服するのは、かなりのエネルギーが必要になります。
大人にしても、運動好きな人がランニングをしたりフィットネスクラブに通っていたり、手先が器用な人が手芸教室に通っていたり、料理好きな人が更に腕を上げようと料理教室に入会したりなど、“好きこそ物の上手なれ”で「ますます上達したい」と思いますよね。
けれども、これらが苦手な人は躊躇してしまいます。
でも、子どもに対して大人の趣味のように「算数が嫌いだったらやらなくていいよ」「水が嫌いだったらプールに入らなくてもいいよ」という訳にはいきません。好きなことだけをやっていればいい訳ではありませんよね。どうすればよいのでしょうか。
『1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子が、子どもに苦手なことを克服させるコツをご紹介します。
苦手克服には「スモールステップ」が大事
運動が苦手な子の場合
少し頑張れば到達する、目先の目標を掲げましょう。
登山を例にお話しします。
登山が好きな人は山に登ります。登る過程に意義を見出しています。
けれども、そうではない人は「頂上に一体何があるんだ?なんで苦しい思いをして上まで登ろうとするんだろう?」と理解できなかったりします。
そんなとき、山の頂上を指されて「あそこまで登りなさい」と命令されたら「しんどいなあ、遠いなあ」と思ってしまいますよね。
そこで、数メートル先の目標を示して「あそこの木までまず歩こう」。そこまで到達したら「今度はあそこの岩まで行ってみよう」と、どんどん次の目標を掲げていきましょう。そのうち、どんどん頂上に近づいていきます。
出来る目標から与えられると、なんとかこなせるものです。結果、頂上に辿り着いたりします。
自分で服を着られない子の場合
まだ不器用で、自分一人では着替えられない子が「自分のことは自分で!一人で着なさい!」と言われても、なかなか出来ません。
そんな時は、服のボタンが5個あれば、上から4個は親が留めてやり、一番下の1個は自分で留めさせるようにしましょう。
一番上のボタンは首に近く、子ども自身からは見えにくいのでやりづらいです。だから、一番下の一つを自分で留めさせるのです。それで「できた!」という達成感を味わわせます。
次のような対応は、よくありません。
- × 最初から5個全部を子ども一人で留めさせる
- × 下から4個は親が留めてやり、子ども自身から見えにくい一番上のボタンを留めさせる。
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× 4個は子どもに留めさせ、最後の1個を親が留めてしまう。(達成感が得られません)
これではうまくいかず、「やっぱりダメだ」と子どもの意欲を減退させてしまいます。
時計が読めない子の場合
小学校に入ると、算数で時計の単元がありますが、時計を全く読めない子どもがいます。プリント上で「この時計の時刻を書きなさい」という問題に苦戦しています。幼児期から時計を意識する生活を送っていない子どもはつまづきます。
そんな時計が読めない子どもに9時10分を指して「今、何時か言いなさい」とテストするのはハードルが高すぎます。
実体験として「1時、2時、3時、4時・・・」がわかるようになることが大事です。
プリントはひとまず横に置いておいて、「3時になったら教えてね。おやつにするから」とか「8時になったら寝なさい」など実際の時計を指して、日常会話に取り入れることから始めましょう。