もうひとつは東京展にむけた「ジョジョの奇妙なスタンド体験」。『ジョジョ』ファンならば誰もが一度は、“自分にはどんなスタンドが出せるだろうか?”と想像して楽しんだ経験があるはず。それをAR技術によって現実のものとしてくれる企画だ。

これは来場者が専用スクリーンの前に立つと、おなじみの「スゥゥゥゥ」「ドドドド」といった擬音とともに、画面上に合成されたスタンドが登場するというもの。3次元と2次元の違和感が出にくいように、人間側に漫画調のエフェクトがかけられているというのだから素晴らしい。実際に社員の方2名が試したところ、「キラークイーン」「ザ・ワールド」と立て続けにラスボス格が登場した。

デモの仕上げとして、荒木先生にもこの最新技術を体験していただくよう壇上から声がかかり、会場内の空気が緊張感に包まれた。この時、会場内だけでなくウェブで中継を見ていたファンもきっと同じことを考えただろう。「荒木先生がスタンドを出すだと……?」「ならば、アレだ、あのスタンドに違いない」と。――そして仕組まれたのかランダムで引き当てたのか、大方の予想は的中した。

スクリーンに映し出されたのは岸辺露伴のスタンド「ヘブンズ・ドアー」。岸辺露伴は第四部に登場するキャラ中でも屈指の人気で、職業は漫画家。作品執筆へのあくなき執念とすさまじい作画スピードは有名で、荒木先生自身がこれまで一度も締め切りを破ったことがない逸話から、ファンの間では「荒木飛呂彦=リアル岸辺露伴」説が根強かった。今回のデモで全世界にそれを証明(?)してしまった形だ。

ご自身もこの結果にご満悦の様子で、「いいですね。僕も欲しいです」とコメントしていた。ここでも見ていたファンからは「あなた最初からヘブンズ・ドアー持ってるじゃないですか!」とツッコミが入っていたはずだ。さらにこのスタンドで何をしたいか問われて「好きな女の子が、僕のことを好きかどうか見てみたいです」と即座に回答(※注:荒木先生は妻子もち)。公式動画を見ていただければ分かると思うが、とにかくこのデモ時の先生はノリノリで楽しそうだった。東京展を訪れる予定の方は、この展示を存分に楽しんでもらいたい。