選ばれる女:家族を大事にする女

最後の2名まで残った森田紗英さん。美しい顔立ちで、スタイルが良く、直球勝負でがんばろうとするいい子、という印象でした。ただ、最初の方では久保さんと個別に話したり、デートしたりする機会に恵まれず、途中で脱落するのかなあと予想していました。

当初、久保さんにとって森田さんは、「かわいいし、悪い子じゃないし、一応残しておくか」くらいの相手だったと思います。しかし、久保さんの中で森田さんの存在感が大きくなったのは、森田さんが亡くなって間もない祖母の話をしたのがきっかけでした。

「おばあちゃんっ子だった」という森田さんに、自身も家族を大事にするタイプの久保さんは共感し、なんて性格のいい子なんだろうと感動したようでした。涙ぐみながら森田さんの話を聞く姿が印象に残っています。「家族を大事にしている」エピソードをちらっと語るのは有効です。

大抵の場合、「いいおうちなんだな」「温かい家庭に育ってるんだな」と好印象を持たれることは間違いなしです。

選ばれる女:目で殺す女(目で落とす女)

最終的にバチェラーから運命の女性として選ばれたのは、現役大学生で芸能活動もしている蒼川愛さん。若いし、芸能人だし、どう見ても美人だから、選ばれるのもあたりまえでしょ、と思うだけだと学びがないため、それ以外の要素で考えることにします。

久保さんは初期の頃から、蒼川さんこそが運命の人だと、確信していたはず。というのも、なかなかふたりで話せなかったり、デートできなかったりするときも、「気づけば愛のことを目で追っている」と蒼川さんに伝えていたくらいです。これ自体がもう既に告白のようなもの。

そんな蒼川さんと他の女性たちとの差は、吸い込まれるような強い目力。とにかくじっと、深く、見つめる目がすごいんです。普通の人なら照れて1〜2秒で目をそらしてしまうところを、蒼川さんはその何倍もの時間、相手の目を見つめ続け、目で心を射抜くんです。相手の心を見透かしてしまうんじゃないか、と感じさせるくらいの勢いで、とにかく食い入るように見る。

そこで怖さを感じさせないのは、蒼川さんのやわらかな雰囲気や笑顔、押しが強くない、といった要素が関係していると思います。ただ、あれだけ人の目を見つめ続けるのは、普通の人にはできないことであり、しないことだからこそ、相手に「あれ……?」と思わせる効果がありそうです。「この人、自分に気があるのかな。あるだろう」と自信を抱かせる効果も期待できるように思います。

女性たちの言動や心理作戦だけでなく、久保さんのスマートなふるまいや、上手な言葉選びなど、豊富な学びや考えるヒントが得られる『バチェラー・ジャパン』は一見の価値あり。

シーズン2の製作も進められるそうで、今後の放送も楽しみです。

フリー編集者・ライター。岡山県出身。中央大学法学部卒業後、楽天、リアルワールドを経てフリー編集者/ライターに。関心のあるテーマは女性の生き方や働き方、性、日本の家族制度など。結婚・離婚を一度経験。11月14日に『はたらく人の結婚しない生き方』を発売。