動画を見せるならどんなものがいい?

動画のお話が出ましたが、どんな動画を選んで子どもに見せてあげるのがいいのでしょうか。

渡辺「時代に関係なく愛読されている絵本や児童文学は、ストーリー性があり、よりよく生きるための知恵など教育的意味が含まれ、登場人物の疑似体験ができるものは豊かな感情を育てます。また記憶する、計算する、考えるといった認知的能力を育てるものや、粘り強さ、思いやりといった非認知能力とのバランスがとれているコンテンツがおすすめです。

リソースが信頼できるNHKやBBC、監修がしっかりしているコンテンツかどうかもチェックしてみてください。子どもと一緒に『何を見ようか』と検索をしてみるのも一つの方法です。勉強とは思わずに、子どもも親も楽しめる、見たいものを見ましょう。一緒に検索する時間も、親子のコミュニケーションになりますよ」

「十六CH」の監修で意識したこと

ちなみに渡辺先生は、アサヒ飲料株式会社による専門家監修の子ども向け見守り動画チャンネル「十六CH(チャンネル)」の監修に携わっています。

十六CHで公開されている16本の動画は、十六茶に含まれる16 素材がキャラクターになって登場し、クイズやうた、工作などさまざまな教育につながるストーリーで、楽しく学べるだけでなく、子どもたちの創造性もサポートする動画となっています。

渡辺先生は、どのような点に注意して監修したのか、お聞きしました。

渡辺「子どもの思いやりや好奇心を育てる、良質なコンテンツができれば良いと思って監修しました。子どもがそれを見て心豊かになる、親が『これは安心だから、見せても良い』と思える動画を目指しました。

また発達心理学では、『認知(考える力)』『感情』『行動面』の3つに分けて考えます。この3つがバランスよく育つようにも意識しました」

子どもに動画を見せる際には、NHKなどのほか、この十六CHの動画も候補として押さえておきましょう。

発達心理学の観点から、子どもとテレワーク中に向き合う方法をベースの心から具体的な遊び方まで教えていただきました。子どもとの接し方に困ったら、ぜひ意識してみてください。

【取材協力】渡辺 弥生先生
法政大学文学部心理学科教授
専門は発達心理学、単著に「子どもの『10歳の壁』とは何か?--乗りこえるための発達心理学」(光文社新書)、 「感情の正体」(ちくま新書)、「親子のためのソーシャルスキル」(サイエンス社)、編著に「まんがでわかる発達心理学」(講談社) 「小学生のためのソーシャルスキル・トレーニング」「心が荒れている子にちゃんと伝わる12歳までのお母さんの言葉がけ」 (PHP)など多数。