「持家」と「賃貸」のどちらが良くてどちらがお得か、の議論については昔から不動産業界を中心にインターネット上でもたくさんの意見が飛び交っていますが、あなたはどちらの選択をしたでしょうか。またはどちらの選択をするつもりでしょうか。
総務省統計局が発表した平成25年度の住宅・土地統計調査によると、25~29歳で11.6%、30~34歳で28.9%、35歳~39歳で46.1%、40~44歳で56.1%が持家であることが分かっており、子育て世代においては、2人に1人が持家であることが分かりました。
このような結果から、持家を選択する人は、毎月ローンなり家賃なり同じくらいの金額を払うなら、最終的に資産として残り、老後も安心して暮らせる持家を……という考えのもとで選択をしている人が多いようにも伺えますが、持家なしの「一生賃貸」という選択肢はないのでしょうか。
今回は、子育て世代において、これから賃貸であり続けることのメリットとデメリットを、最近の住宅事情を踏まえ宅建士である著者がお伝えしたいと思います。
「持ち家」と「賃貸」で悩んでいる方の参考になれば幸いです。
「家を買わなければならない」という脅迫概念にとらわれていませんか?
今の子育て世代の親世代は、大学卒業後就職をし、結婚して子どもを作ったら子どもを安心して育てるための家を買い、家を買ったら定年までローンを払い続けるのが普通でした。
年功序列で収入も安定しており、定年後の年金も保証されていたような時代であれば、誰もがその道を突き進むことができたのでしょう。
しかし、現代の子育て世代は、たとえ大企業に就職できたとしてもリストラのリスクがありますし、また運よく定年まで働けたとしても、退職金や定年後の年金は保証されていません。
金銭的に余裕がある家庭は別ですが、親の影響を受けて「家を買わなければならない」という強迫概念にとらわれていると、家のために家計が火の車という事態にもなりかねませんから、親世代の考えを今の子育て世代に当てはめることは難しいと言えます。
「持ち家」と「賃貸」それぞれのメリット・デメリット
では、毎月98,000円の持ち家ローン返済(※ローン条件:元利均等払い 借入総額3,500万円、ボーナス返済なし/返済期間35年、変動金利タイプにて契約)と、98,000円の賃貸家賃では、どちらにどのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。
お金の面だけで見てみたいと思います。
持ち家の場合
<メリット>
- ローンを払い続けることによってマイホーム(資産)が持てる
<デメリット>
- 金利が上昇した場合、毎月の返済額と総返済額が増える
(変動金利の場合、金利が1%上昇した場合、毎月の返済額は約17,000円高くなり、総返済額も約700万円高くなる) - 毎年固定資産税が掛かる
- 建物を維持するための修繕費が掛かる
- マンションの場合は管理費、修繕積立金が掛かる
- 購入時の費用が高い