賃貸の場合
<メリット>
- 毎月の家賃さえ払っていれば、固定資産税や修繕費が必要ない
- 今後家賃の値上げは考えにくい
- 初期費用が安い
<デメリット>
- 生きている以上、ずっと家賃を払い続ける必要がある
簡単にあげればこのような感じになりますが、どちらが良いかについては人それぞれの価値観にもよりますから、一概にどちらが良いとは言えません。
しかし、「住む場所を確保する」という見方をした場合は、どちらも状況は同じであるため、無理をしてまで「持ち家」にこだわる必要はないように思います。
持ち家の最大のデメリットは、金利の上昇により返済額が変わるということ。(変動金利で契約の場合)
今後の経済状況が読めないだけあり、金利が今後どう変動するかについては誰も分からず、仮に1%上昇しただけでも返済額に大きな影響を与えることから、変動金利の場合は注意が必要です。
それに比べ賃貸は、「借地借家法」という法律で借主はある程度守られているため、よほどのことがない限り家賃の値上げは考えにくく、交渉次第では値下げできる可能性が十分にあります。
持ち家と同じように住む場所が確保できていて、毎月の家賃も生きるためのコストと考えれば、「一生賃貸」という道も考えられるはずです。
最近の住宅事情を踏まえ、本当に「一生賃貸」は可能?
「一生賃貸」で懸念されることと言えば、退職後の家賃です。
持家であればローンさえ完済してしまえば、その後は建物維持費だけで死ぬまで安心して暮らせる場所がありますが、賃貸であればずっと家賃を支払い続ける必要があります。
しかし今の日本の住宅は余っており、住むところに困るということはありません。
都心部に住んでいると「住宅余り」はあまり感じないでしょうが、都心から少し離れた郊外では、公営賃貸住宅の空室率が目立っており、即入居できる物件が溢れています。
そのため、家賃も想像以上に下がっており、年金暮らしの人でも暮らせる住宅はたくさんあるのです。
そしてもう1つ、高齢になってから賃貸住宅を探すことへの懸念として、「入居できる物件がない」というものがあります。
確かに物件オーナーからすれば、高齢者は死亡というリスクがあるため、入居を許可しない傾向にはありますが、これから高齢化社会を迎え、住宅余りの改善策として、高齢者も積極的に受け入れることになるでしょう。
その証拠に、死亡を対象にした保険商品も既に出ています。
保険でリスクがカバーできれば、物件オーナーも積極的に高齢者の入居を考えるようになることが予想されますから、高齢者はこれからますます住むところに困らなくなるでしょう。
このように、賃貸の家賃を生きるためのコストと考え、退職した定年後は少し不便でも家賃の安い郊外に移り住むことを視野に入れれば、「一生賃貸」という選択肢も「あり」だということです。
「家を買わなければならない」という強迫概念にとらわれていて、持家にこだわっていると、大切な子どもの教育費を削らなければならなくなったり、欲しいものが買えなくなったりと、生活に余裕がなくなり、それが心の豊かさをも奪ってしまうことになりかねません。
「一生賃貸」を選択することにより、生活にも心にも余裕が生まれるのであれば、その選択肢もありだということ。
子育て世代において、最適な住宅選びができるよう心よりお祈りいたしております。