「なるべく栄養のある食事を」、と、毎日食材選びやごはん作りに苦心されていることと思います。

でも、せっかくの栄養、調理の仕方や食べ方によってロスしているかもしれません!

貴重な栄養素をなるべく減らさない、場合によっては栄養アップものぞめる効率的な食べ方とは…?

その調理、9割の栄養捨ててます!』の監修をされた、東京慈恵会医科大学付属病院 栄養部の濱裕宣(はま・ひろのぶ)さん、赤石定典(あかいし・さだのり)さんにお話を伺いました。

ちょっとしたことも、知っているor知らないとで大きな差に!

――みそ汁のみそを溶くときは、少し冷ましてから入れたほうがいいんですね。

濱裕宣さん(以下、濱)「温度が大事ということですよね。みその乳酸菌が温度によって死滅してしまうので、あまり熱い中で溶くと意味がないんです」

――ごまもそのままだと、ほとんど食べる意味がないと…

濱「ごまって結構、粒が硬いですよね。あれを1個1個、食べながら歯でつぶすのというのは、なかなか困難なんですよ。ほとんどがそのまま胃に送られて、そして殻が硬いため消化されずに小腸~大腸へ行き、そのまま排泄されてしまう。だから、すって食べないといけないわけです。

手回しでゴマがすれる道具、ありますよね。ああいった道具を使うといいかもしれません」

――じゃがいもは丸ごと皮つきでゆでないと、栄養が出てしまってもったいないですね。

赤石「本当に味が違うんですよ、皮つきのいもで作ったポテサラと、皮をむいたので作ったポテサラとでは…。じゃがいもそのものの味が…」

濱「違いますね、うま味がね……。蒸すとさらにいいです。皮ごと蒸して、皮をむいて、つぶす」

――ピーマンのワタや種は、食べても特に気になりませんね。

濱「そうなんです、気にならないんです。丸ごと焼いたピーマンを生姜醤油で食べるとおいしいですよ」

――りんごは、皮つきで横にカットする。

濱「(種の周り)ギリギリまで食べられますよね。種は、毒性があるので気をつけないといけませんが」

――皮まで食べる場合、農薬などが心配な方も多いかもしれません。どのように折り合いをつけたらよいでしょうか。

濱「基本的には、よく洗っていただければ大丈夫かと思います。洗っても落ちないようなものが出回っていたら、それは問題なのでは…? 国産ならば大丈夫かと」

赤石「そこは国の管理なのかなと…。農薬に関してはかなり規制がしっかりとしていて、人参や大根など皮付きの野菜であれば、皮の状態が基準値未満です。市場に出回っているものを疑っていたらきりがないというか。

逆にわからないのは、家庭菜園などでこじんまりと作られたようなものはどこまで管理されているか…なんともいえないところがあります」

栄養価を高める&栄養を損なわない保存方法

――玉ねぎは風通しのいい日陰で保存する、と思っていました。皮をむいて、1週間日にあてるんですか。

濱「しいたけなんかもそうですね。日に当てます」

赤石「日に当てて、みじん切りにすると(ケルセチン・アリシンが)最強です」

――腐ることはないのでしょうか。

濱「腐ることはないです。最近の玉ねぎは、日持ちさせるために乾燥させているんですよね。新玉ねぎに関してはとれたてですが、市場に出回っているものは、ある程度乾燥させているので、そうそう腐りはしないと思います」