――トマトは完熟していなければ、常温保存でもつということですね。
濱「低温がだめなんです。ミニトマトなども基本的には同じです」
――なす・きゅうりなども、冷蔵庫に入れないほうがいいと。
赤石「基本的には夏の野菜なので。自然に近い状況をどうやって作り、保ってあげるかなんです。熟してきて、気温が暖かいと当然傷みやすくなりますから、その場合は冷蔵庫に入れたほうがよいでしょう。
でも、その前に召し上がるのがいいと思います」
――常温でおいて、早く食べるという感じでしょうか。
濱「野菜は基本的に、早く食べたほうがいいです(笑)。あまり大量に買い込まないで、必要な量を必要な分だけ食べるかたちで」
赤石「果物もそうですが、まだ硬くて『食べ頃まで何日』などと明記されているものは、どんな保存方法で最もおいしくなるか、だと思うんです。
トマトなどの場合、上の部分が緑色でまだ熟していないと思ったら、ヘタを逆さにして常温に置き、赤くなってからすぐに食べた方がいいです」
栄養アップの食べ方は、おいしく理にかなっている場合が多い
――栄養価を高める食べ方の例を教えてください。
濱「カルシウムの吸収にビタミンDとか」
赤石「クラムチャウダーにきのこが入っているか・いないかでも、違ってくるんだろうな、と思います。
にんじんやピーマンに含まれるビタミンAなど、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D.・E.・K)は油に溶けるので、油と一緒に摂らないと吸収されません。だからにんじんを生でポリポリ食べても意味がないという…。
先ほどのピーマンも、丸ごと焼いて生姜醤油、そこにゴマ油などをかけると吸収がよくなります」
濱「レバーも、ビタミンAが多いので、油で一度さっと揚げるといいですね」
赤石「水に溶けてしまう水溶性ビタミン(ビタミンB群・C)は、あまりゆでたりしないで、そのまま食べた方がいいです」
濱「水につけたりもしないほうがいいですね。切り口が大きければ大きいほど、損失量が多くなりますので」
赤石「炒めものを作るときには、はじめに脂溶性ビタミンが多いにんじんなどを油で炒めて、最後にビタミンCの多い葉物などをさっと入れ、あまり火を通さないで食べますよね。そうすることで栄養がしっかりとれます。
逆にいうと、ビタミンCの多い食べ物は、それほど火を通さなくても食べられるものが多い。よくできてますよね」
濱「豚しゃぶなんかも、しゃぶしゃぶにするとビタミンB1が全部流れていってしまうので、栄養素をかなり損なった食べ方になります。鍋物なども、全部汁に栄養が出てしまう。最後におじやなどにして、ゆで汁まで食べればよいのですが」
赤石「汁に栄養が残っても、熱に弱い栄養素はどうしても壊れてしまいますよね…。
食べ方のポイントは、『生長点』(野菜の生長する部分)をいかに早く取り除いてあげるか。それから栄養を逃がさない『切り方』と『加熱方法』。そして、『食材をどのように組み合わせるか』ですね」
濱「ほうれん草の赤い部分には栄養があるとか、昔からそういうことは言われてましたよね。昔の人にとってはそれが常識だったのでは。
食べ物を無駄にしないで、少ない食糧からいかに多くの栄養をとるかが、よく考えられていたんだと思いますね」
野菜の栄養価は昔と比べて大幅に減ってきているとか。
また、加齢にともなって栄養の吸収率は徐々に下がってしまうそうです。
昔ながらの知恵と最新の知見が融合した調理と栄養の新常識、みなさんもぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。