連載「まっとうな親になりたい」でお馴染みの漫画家Chaccoさんは現在、年中の男の子、通称きんちゃんを子育て中。

きんちゃんの成長や発育について気になること、関心ごとを色々抱えるChaccoさんは、同じくハピママでお馴染み、立石美津子さんに相談をしてみることに。

「発達障害に生まれて-自閉症児と母の17年」(松永正訓 、2019年度「日本医学ジャーナリスト協会賞」受賞)で自身と息子さんとの半生を赤裸々に発露させた立石さん。Chaccoさんの等身大の想いや本音と、立石さんからのアドバイスやメッセージがクロスする対談をお送りします。

人生100年時代を生きる子どもたちに、親が何でもしてあげなきゃって思わない方がいい

Chaccoさん(以下、Chacco):まだ少し早いのですが、最近就学について考えるようになりました。支援学校に通うのか、公立小学校の支援級に通うのか、私立を選ぶのか…などまだ何も決まってはいないんですが、どの家庭にとっても小学校入学って一つの岐路なのかなと思うんです。立石さんは、ご自身の子育てについてどのようなタイミングで方針を決めたり、取り組んだりされたんですか?

 立石美津子さん(以下、立石):先日も「長いスパンの計画を、どの時点で考えたんですか」って、似たような質問をされることも多いのですが、振り返ってみると、その時になってみないと分からないことも多かった気がします。
息子の場合は、発達の偏りがあるのが分かったのは2歳の時でした。35歳くらいは色んな病院や施設にも連れ回していましたし、息子も言葉が出ないからイライラのピークだったようです。本当に孤独でしたね。
小学校は支援学校に入学させ、そこから支援級に移ったのですが、小学校に入ってからは放課後デイサービスにも通うようになり、先生やお母さん方とのつながりができたことで、肩ひじを張らなくなったというか、すごく楽になりました。

Chacco:今のうちの息子と同じくらいのときは苦しかったのですね。

立石:福祉という観点で言えば、適切な制度を必要な時に活用できるよう、早めに頼っておいたがいい。そして制度だけに関わらず、頼れる先をたくさん持っておくことが大切だと思います。
人生100年時代と言われるように子どもの人生も親がいなくなってからの方が長くなっていくでしょうから、親が何でもしてあげなきゃって思わない方がいいと思うんです。

今、息子は就労移行支援事業所に通っているのですが、先日、作業でミスをしてしまったらしく、パニックを起こしていると連絡があって、自宅でヒヤヒヤしながら帰宅を待っていたことがありました。
本来はその後、週1回通っている放課後デイサービスの成人部の集まりに行く予定だったのですが、そこで息子は自分で電話をかけて「今日は気分が優れないので、お休みします。電車を見て気分転換をしてから帰ります」と連絡したと、放課後デイサービスから電話があったんです。

これまでは、何かトラブルがあったら、帰宅してから爆発してしまうということが何度かあったんですが、この日は自分でどうすべきか判断して、自分で気持ちを切り替えて、ワンクッション置いたことで、落ち着いて帰ってきたんですよ。
私も少し驚いたのですけれど、就労移行支援事業所の方も、放課後デイサービスの方も、その成長をすごく喜んでくれて、一緒に分かち合うことができました。これまでの福祉との繋がりに感謝する出来事でしたね。

それから療育手帳についてはそれを持つことについて、様々な観点で躊躇する方もいるという声をよく聞きますが、手帳がないと、将来障がい者の雇用枠に入れない、障害基礎年金がもらいづらい、グループホームに入りづらいなど本来受けられるはずの福祉から零れ落ちることになるかもしれないからです。
でも、療育手帳を持っているにしても、自分から言わない限り、どこにも載ることはありませんし、進学に差し支えるなどもないので、持っていることによるデメリットもないんです。