「隠れ貧困」という言葉が社会を騒がせていますが、あなたも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

「隠れ貧困」とは、放置していると「下流老人」に転落しかねない危険なお金の生活習慣病である、と経済ジャーナリストの荻原博子さんは言いますが、隠れ貧困はママ達にとっても無関係とは言えません。

高価なヘアサロンやネイルサロンへ行き、写真を撮ってSNSに投稿し、キラキラした自分をアピールするママや、高価なレストランへ行き、コース料理を写真に収め、女性が憧れるような煌びやかな生活をSNS上でアピールするママ達がいます。

そういったママ達といえば、さぞかし旦那様の年収は高く、リッチな生活を送っていることを想像するでしょう。

しかし、表向きは絵に描いたような経済的に恵まれた家庭に見えていても、蓋をあけてみればほとんど貯金はなく、借金までしなければやっていけないという家庭は少なくありません。

リア充アピールをして勝ち組を装っていても、そういう家庭は何かあればすぐに家計が破綻してしまう「貧困予備軍」とも言えるのです。

なぜ経済的に恵まれているはずの家庭が「隠れ貧困」に陥ってしまうのか。

今回は、荻原博子著『隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計』を参考に、隠れ貧困に陥る原因と、隠れ貧困の実態についてお伝えしたいと思います。

貯金ができない高所得者が増えている

国民の平均収入の半分以下の状態のことを「相対的貧困」と言いますが、総務省が発表した「全国消費実態調査」の結果によれば、相対的貧困の割合は2009年の10.1%から、2012年には16.1%まで上昇しています。

さらに貯蓄広報中央委員会の調査によると、貯金ゼロ世帯の割合が2015年度には30.9%を占めていることも分かりました。

そして驚くことに、貯金ゼロ世帯を年収別に見てみると、年収750万円以上1000万円未満で11.2%、1000万円以上1200万円未満で13.5%、1200万円以上では11.8%であることから、高収入であっても全く貯金ができていない家庭が存在していることが分かります。

表面上はリッチに見えていても、実際は貯金が全くできず借金までして生活を維持している家庭は、下流老人に転落しかねない「隠れ貧困」状態と言えます。

ではなぜ、高収入でありながら「隠れ貧困」となってしまうのか。その原因は主に2つあると荻原さんは言います。

「隠れ貧困」に陥る原因とは

隠れ貧困に陥る2大要因とは、「夫の収入の減少」と「家計の浪費」ですが、どちらか片方だけで貧困になるということは考えにくく、両方伴っていることが多いと言います。

例えば、もともと夫が稼げていて無駄遣いも多かった家庭において、夫がリストラや減給にあえば、一気に家計が破綻していくというパターンは隠れ貧困の典型です。

無駄遣いが習慣化していた家庭でも、夫が稼げているうちは何も問題ありませんが、夫の収入が減ったりなくなったりすると問題が表面化し、路頭に迷ってしまう家庭は、生活習慣病の何ものでもありません。

そうなれば「収入を増やす」か「使うお金を減らす」かのどちらかの方法で隠れ貧困から脱出するしかありません。

それはまさに生活習慣病で肥満になってしまった人が痩せるために運動をするか、食べる量を減らすかのダイエットと同じ状態です。

今のご時世、夫の給料が上がるのを期待したり、転職によって給料を上げるのは難しいですから、副業を考えたり妻が働きに出たりすることを考えることの方が改善策としては良いでしょう。