「心の病」である隠れ貧困の実態とは
前述で、隠れ貧困の解決策としては、「収入を増やし、使うお金を減らす」とお伝えしましたが、そう言ってしまうと、妻が働きに出て無駄な出費を減らせば簡単にクリアできるのではないかと軽く考えてしまいがちです。
しかし現実はそう簡単に実行できず、隠れ貧困から抜け出せずに苦しむ人は多いと言います。
なぜ、簡単には脱出できないのか。それは隠れ貧困が「心の病であることが多い」からのようです。
では、心の病である隠れ貧困の実態を、『隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計』から2つご紹介します。
家や車を持つことに対する体裁問題
子育て世代の親世代は「結婚したら家を持って当たり前」「家族のために車を持って当たり前」という世の中で生きてきた世代ですから、そういった親の元で育った子どもは自然に親と同じ思考になり、現実とのギャップに苦しむと言います。
親世代は確かに頑張って働いていれば、誰もが家を持ち、車を持てた時代です。
しかし現代は、そうではないことが分かっていながらも体裁ばかりを気にし、家や車を持つことに執着してしまうため、貧困に陥ってしまいます。
家計を救おうと就職活動をする主婦の見栄問題
家計のピンチを救おうと働くことを考える主婦は増えましたが、40代ともなればなかなか採用されなくなります。
それにもかかわらず、土日の勤務はイヤ、スーパーのレジ打ちや清掃員はイヤなど、数々の条件を並べ立て、就職をさらに難しくしてしまうのです。
こういった行為は、長年自分で苦労して稼ぐことなく生活してきた主婦にありがちな行為で、働くとはどういうことなのかが理解し辛く、現実も理解し辛いことから起こることなのでしょう。
しかし本当にお金に困っている人は、職種や条件を選んでおらず、いち早く稼ぐ手段を見つけ行動に移すものです。
「見栄」が邪魔しているためになかなか就職できず、隠れ貧困から脱出できないでいては、家計を救うどころか、どんどん貧困に陥っていくばかりですね。
要チェック!あなたの隠れ貧困度は?
これからあげる10個の質問にYESかNOかで答えてみてください。YESの数であなたの隠れ貧困度がチェックできます。
- 生活費は苦しいが、年1回の家族旅行はリッチに行きたい
- 月に3回以上、自分にごほうびを贈る
- 給料日前でも、ママ友とのランチを断れない
- 子どもは3つ以上の塾・習い事をしている
- 子どもの教育費などは、親から援助してもらっている
- 住宅ローンを払い終わるのは、65歳以降だ
- 月々の生活費の赤字(年間30万円以上)をボーナスから補てんしている
- 生命保険は勧められるまま、3年ごとに見直しをしている
- 年間の貯蓄額より、保険料のほうが多い
- 貯蓄はない
『隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計』荻原博子 著
YESの数が1~3個・・・「隠れ貧困度10%」
YESの数が4~7個・・・「隠れ貧困度50%」
YESの数が8~10個・・・「隠れ貧困度80%以上」
と、なります。
10%であれば、今の生活にあまり問題はなく、さらに貯金を増やせるように頑張るのみですし、50%であれば要注意となります。
問題は隠れ貧困度80%以上で、こちらは既に隠れ貧困の可能性があり、早急に家庭の大改造が必要となる状態です。80%まで行ってしまう前に、改善をはかりたいものですね。
まとめ
このように、「隠れ貧困」に陥る原因は日頃の「生活習慣病」であり、隠れ貧困は心の病であることから、一度陥ったらなかなか抜け出せないことが分かります。
病院などでよく聞く「生活習慣病」も、日頃の食生活や運動不足が原因となり、放置すれば高血圧や糖尿病、脳卒中や心筋梗塞に発展します。隠れ貧困もそれと同じなのです。
一度築き上げた習慣を変えることはなかなか出来ませんが、多少の苦痛は伴っても少しづつ自分を変えていけるよう頑張るしかありません。
人生100年時代。今後は誰もが長生きリスクを抱え生きていくことになります。今も大事ですが、豊かな老後を送るためにも「隠れ貧困」問題は今のうちから解決するようにしたいですね。