「ユジン食堂」の外観。春夏秋は店先に簡易テーブルが置かれる。冬はテントが立てられ、その中でも食べられる

ソウルの注目エリア、鍾路3街(チョンノサムガ)ツアーの2回目は、楽園商街の地下市場から地上に出たところからスタート。楽園商街のビルの東側を歩いてみよう。

フォトギャラリー美味しそう~「楽園商街」のおすすめグルメなどを写真でじっくり見る
  • 「ホッパチプ」の人気メニュー。手前の皿がカン(レバ刺し)とチョニョプ(センマイ=牛の3番目の胃)の盛り合わせ12000ウォン。向こうの皿がユッサシミ(牛刺し)20000ウォン
  • 「ユジン食堂」の平壌冷麺。そば粉が香る麺と薄味の上品なスープが平壌式の特長だ
  • 「ユジン食堂」の外観。春夏秋は店先に簡易テーブルが置かれる。冬はテントが立てられ、その中でも食べられる
  • 鍾路3街駅の5番出口の近くに貼ってある地図。店主が自分の店に客を引こうとしてか、勝手になにやら書き込んでいるのはご愛敬
鍾路3街駅の5番出口の近くに貼ってある地図。店主が自分の店に客を引こうとしてか、勝手になにやら書き込んでいるのはご愛敬

わずか200円の幸せ定食

 

楽園商街地下市場の東側(鍾路3街5番出口側)の階段を上がると、右手にくたびれた感じの食堂が見えてくる。

ここは「ソムンナンチプ」という店で、牛骨でダシをとって大根の干し葉とともに煮込んだスープとごはんと大根キムチが2000ウォン(200円弱)で食べられることで有名だ。この20年間で500ウォンしか値上げしていない。

創業者は朝鮮戦争のとき、分断前の北朝鮮から避難してきた苦労人だ。

「飢えることがどれほど恐ろしいか身に染みているから、薄利多売を続けている」

のだという。泣かせる話だ。

 

おじいちゃんの楽園

楽園商街の「楽園」はこの辺りの町名・楽園洞(ナグォンドン)に由来している。

この町名を聞いてソウルっ子が思い出すのは「おじいちゃん」。「ソムンナンチプ」の角を右に曲がって楽喜通り(通称)を100メートルほど行ったところにあるタプコル公園が高齢者の憩いの場として有名だからだ。

現在、タプコル公園はコロナの拡散防止のため閉鎖されている。

 

「ユジン食堂」の平壌冷麺。そば粉が香る麺と薄味の上品なスープが平壌式の特長だ

タプコル公園の手前の左角にあるのが「ユジン食堂」。こちらも北朝鮮からの避難民が始めた店で、平壌冷麺やノクトゥチヂム(緑豆粉のチヂミ=ピンデトック)が有名だ。

平壌冷麺は専門店だと今どき10000ウォンは下らないが、この店では8000ウォンで食べられる。

スープは平壌式らしく淡白だが、飲み込んだあとにコクが感じられる。ノクトゥチヂムでマッコリを飲んだ後、冷麺で〆る“先酒後麺”が通の食べ方だ。