試食コーナーで

こんな文を見つけました。

著者の息子さんは就学前まで白いご飯を食べられなかったそうです。そこで「日本人なのにお米が食べられない。これは何とかしなければ」と考え、綿密な計画を立てます。

例えば、保育園から帰った一番お腹がすいているとき、ほんの一口からご飯を食べさせ、その後、大好きなチョコレートを食べてよい許可を与える等です。

その結果、息子さんは家に帰ることを嫌がり、あげくのはてに保育園に迎えにいった母親の顔をみるなり先生にしがみついて、離れない状態になってしまいました。

ところが、スーパーに行ったときのこと。試食販売の店員が小さなカップに一口大のご飯を入れ、ふりかけをかけたものを息子さんに渡したそうです。すると、嬉しそうに食べたというのです!そして、その日を境にふりかけご飯が大好きに…。

最後に、次のような言葉が書かれていました。

期待も押しつけもしない、ちょっと太った試食販売のおばさん。私はそんなお母さんになろうと思いました。

障害のある子の親はついつい専門家もどきになってしまう。でも、親が療育の専門家になってしまうと子どもには親がいなくなる。障害のある息子と向き合ったとき、私はやっぱり親でいたいと思いました

…中略…

親は親以上でも親以下でもない。親だからできることもあり、親だからできないこともある。それでいいと思うのです。

出典(『障害のある子の親である私たち』(福井公子著/生活書院))

発達障害児の感覚過敏

発達障害に代表される自閉症の子は一つの物にこだわりパターン化、更に舌の感覚過敏により偏食になることが多いと言われています。

味覚過敏により決まったものしか食べられない子もいます。中には好き嫌いが多いというより、「○○社の◇◇カレーしか食べられません」という子もいます。

これを我儘としてしつけたらよいか、感覚過敏なので許してもよいものか悩みます。

でも、自分が「三食の食事でバリウムをお茶代わりに飲みなさい」「芋虫を全部食べなくてもよいから…少しだけ切ってあげるから、一かけらだけでも食べなさい」と言われたらどうでしょう。絶対に嫌ですよね。

感覚過敏とはそのようなものだと思います。

さて、筆者の自閉症の息子も偏食でした。でも今は何でもモリモリ食べる20歳です。

もし、過去に時間を戻せるのだったら、自分の肩をポンと叩いて「好き嫌いをなくそうとそんなに真面目に一生懸命にならなくたっていいですよ」と声をかけてやりたいです。

それから「好き嫌いが多い」ということは、舌が敏感だということ。将来、有名なシェフや料理人になれるかもしれませんよ。偏食指導はほどほどに。