たくさん「立ち寄る」ほど、物語に厚みが生まれます
トップに戻って再度スタート。ここで、いろいろなルートを辿ってわかったことをご紹介。
物語は主にホームコメディノリで進行。話の展開は多種多様。最初に辿った「アクティビティ編 END1」のように、選択肢2回で終わるパターンは結構レアでした。
動画は1~2分程度のものから5分以上のものもあります。
基本は静止画アニメで、主人公らはシルエット表示。これぞ本家ゲームの演出の通りで、オマージュの強さが感じられます。
ただし物語を進めると、実際に蒲江の人との会話や、レジャーやアクションをする動画なども出てきます。出演者が体を張った(?)場面もあり、パソコンの前で大笑いしました。
本家と違い「死体」は出ません。ですが、選択次第で海鮮丼を食べ、みそを作り、酵素風呂に入り、猫を探し求めるなど、蒲江で「したい」ことをたくさん行う主人公。
さらには、蒲江に住むと言い出す流れ(さてどうなる!?)から、物語の枠を飛び出し、楽屋オチやメタ的ループに陥るSF寄りの展開もあります。
夢中になり一時間半ほど巡ったところで、一旦休憩。好きな時間に気軽に楽しめるのも嬉しいです。
さらにさまざまな箇所に「立ち寄る」こと小一時間。
とある選択をして、ちょっと驚きの結末に遭遇。すると、スタッフロールが流れました。トゥルーエンドに到達のようです。
せっかくだしと、さらに「立ち寄る」こと一時間。これまた、サスペンス的な結末となり、別の「トゥルーエンド」に到達しました。
ただし、この結末では気になる点がありました。戻って別の選択肢を選び直し、海に入ったり、大分弁を学んだり、スマホに真海からメールが届いたりする結末を経て……。
なるほど。きっとあの選択肢を選んだとき、物語の裏であんなことが行われたに違いないと、ミステリ的な気付きがありました。(動画内のとある文章を読み返すと、思わずゾクゾクっ。しっかり伏線を張っていたなんて!)
プロモーションの枠を超えた、蒲江に愛着が湧くゲーム
あらためてプレイの感想です。
数あるプロモーションサイトの中でも、ここまで見せ方に工夫を凝らし、原作へのオマージュ愛が深い内容に脱帽しました。
発見したミステリ的な仕掛け(多分)も巧妙で、気づいたときはトリックを見破った爽快感がありました。
同時に、物語の舞台の蒲江に愛着が湧きました。地図で見ると大分県南端の小さなエリアですが、漁師町としての歴史、アクティビティの数々、海鮮を使った料理やその他お菓子などのグルメなど関心が高まりました。特に、登場する蒲江の人々がみんな生き生きとしています。
もし今後行ける機会があれば、島ネコと触れ合うにゃんこツアーや、買った魚を自分で焼ける「焼き小屋」など、「したい」ことが生まれてきました。
なおプレイをしてアンケートに答えると、抽選で特産品の入った「かまえのしおり」が特製箱に入って送られます。最後までオマージュ愛にあふれていました。
「トラベルノベル第一弾」と書かれていたので、「第二弾」以降にも期待です!
「●かまえにたちよる」3月31日まで公開
(イベニア/高柳優)