――今年『Legend Tokyo』という大きなコンテストで頂点を極めた梅棒が、新たに挑むチャレンジ、それが今月行われる初の単独公演『スタンス』である。5日間・9公演にわたるこの公演で、現在の梅棒の魅力を存分に味わえるはずだ。と同時に、梅棒というパフォーマンス集団のアイデンティティを世に問う、梅棒自身にとっても大きな意味を持つものになるだろう。
TAKUYA「ダンス、芝居、演劇、なんでもそうなんですけど、自分らのやってることに対しての振り切れ具合と、舞台の上での自信というか、気持ちの強さが大事だと思うんです。出演者たちの気持ちの強さと振り切れ方、そこがちゃんと伝わればいい舞台になると思うので、そこを見てくれたら嬉しいです」
たっちゃん「ちょっとネタバレになっちゃうんですけど、いつもは1曲でひとつのストーリーを見せているんですが、今回は1曲では話が完結しない作品があります。いつもは見れない作品になると思うので、そこを見ていただけたらと思います」
ツル「うちらの公演って変な話メッセージ性がないので、この公演でこう思って欲しいとか、こう伝わったらいいなっていうのは、ないんですね。あるのは、ただ単に面白いことがしたいという思い。なので今回の1時間20分も、お客さんも気構えることなく、なにも考えずにただ見て心が軽くなるような公演になると思うんです。そこがうちらのいちばんの強みなので、見終わったら、ちょっと心が軽くなってもらえると思います」
今人「例えば音楽のライブって1日やったら次の会場へ移動するし、ダンスの公演も土日で3公演やるくらいが多いんですが、演劇って数ヵ月かけて稽古したものを、数週間かけてずっと公演していくスタイルですよね。簡単に言うと、そういう演劇活動だけで暮らしていける人たちって日本にはいないんです。国からの助成がなければ公演ができないって人たちもいっぱいいるし、今回のうちらの公演だってプラスを生むものではまったくないです。
でも、それでも活動をしていくからには、このやり方で成功していく夢を描いてるんです。梅棒っていろんな表現の中でもあまり恵まれてない、日本人にも馴染みの浅い分野を担っていると思うんですけど、今回の公演は演劇のいい部分とダンスのいい部分を融合させてきた梅棒の粋を結集させて、うちらのやり方でのし上がっていこうっていう“梅棒のスタンス”の表明なんです。そういう思いで『スタンス』と名付けました。別にそれを感じてやろうと思って見る必要はないですけど、そういうつもりで臨んでいる奴らなんだってことは、知ってもらえたら嬉しいですね。あとはなにも考えずに純粋に楽しんでほしいです」
――最後に、残念ながら今回の単独公演には不参加のKAZUYAさんに、自身が思う梅棒のいちばんの魅力について訊いてみた。
KAZUYA「うーん……言葉にするのは苦手なんですけど……とにかく熱いと思います。普段はみんなそれぞれ違う活動をしているけど、梅棒っていう団体をもっと盛り上げていきたいと思っているし、このチームで飯が食えるようになりたいって思って、それぞれの武器をぶつけて頑張っているところなので……やべ、まとまんなくなっちゃった」
今人「もっと梅棒のいいところ、ちょうだいよ! 他にはない梅棒の魅力ってなんなの?」
KAZUYA「…………みんな、大好きです!」
全員「(爆笑)」
今人「最悪だ(笑)!」
ゲラゲラと笑う彼らは、この取材のあと、ふたたび練習に戻っていった。公演前になると毎日、前の晩から次の早朝まで練習を行うという。彼らが初の単独公演でどんな新しい顔を見せてくれるのか、そしてこの先どんな快進撃を繰り広げるのか。なんとも世知辛い世の中で、誰もが熱くなれる活きのいいエンタテインメントを届けてくれる梅棒のステージに、ひとりでも多くの人に出会ってほしい。
梅棒『スタンス』
作・総合演出 伊藤今人
振付・監修 梅棒
2012年10月17日(水)~10月21日(日)
池袋シアターグリーン BIG TREE THEATER
公演HP