よく動くアニメーションでドライブする笑いの破壊力! 『月刊少女野崎くん』

月刊少女野崎くん 第1巻 [DVD]

最後にご紹介するのは、昨年の大ヒット作『月刊少女野崎くん』。

 

人気少女漫画家としての顔も持つ男子高校生、野崎梅太郎に恋する佐倉千代。ある日、勇気を振り絞って野崎くんに告白をするものの勘違いとアクシデントが重なり、千代ちゃんは彼のアシスタントになってしまいます。天然で朴念仁な野崎くんと、そんな彼にピュアな恋心を抱きつつもなかなかその距離を縮めることができない千代ちゃん。そんなふたりの前には、異常にキャラが濃いメンバーが次から次に集まり、漫画製作と恋の行く末はますます前途多難なものに……。

『月刊少女野崎くん』は、少女漫画家を主人公に据えたラブコメアニメ。ラブコメといっても、パワフルなギャグが持ち味となっており"コメ"の比重が強い作品となっています。

上質なコントといった趣の巧みな構成が光るシナリオに、スラリと等身が高い少女漫画タッチのキャラクターが活き活きと動く姿が合わさり、ここに抱腹絶倒のラブコメアニメが誕生。美しいアニメーションが劇中のコメディ感を更に加速させ、笑いのグルーヴが生まれる幸福感が何とも堪りません。

また、そんなコミカルな作風の中で野崎くんに一途な恋心を抱き続ける千代ちゃんの姿がもう本当に可愛くて可愛くて! 野崎くんの鈍感さ故に、自身の想いを一向に気付いてもらえないことにもめげず、奮闘する千代ちゃん。空回りし続ける乙女っぷりは笑いを誘うと同時に、観ているこちらのハートをキュンキュンさせてくれます。

『月刊少女野崎くん』は、動画工房の超絶技巧のリソースを全力で人を楽しませる、笑わせることに注いだ非常に贅沢なアニメ作品だといえるでしょう。それにしても、動画工房が描く女の娘は、本当に可愛いらしいですよね。
 

最後に、動画工房の魅力を自分なりに考えてみます!

ここで紹介させていただいたアニメ作品の他にも、動画工房は『恋愛ラボ』や『魔界王子 devils and realist』、ショートアニメの『まんがーる!』などのアニメ作品をリリースしており、いずれの作品もその動きと絵の美しさでアニメファンを楽しませてくれました。

そして、そうした端正なアニメーションの数々は、いずれも"アニメらしいアニメをどれだけ高いクオリティで作るか?"という情熱によって作られているような印象を受けます。

勿論、アニメという表現は監督や脚本家、演出家、原画、動画……という様々な製作スタッフが結集をして作品を作るもので、当然、各エピソード毎に個性が出ます。なので、一概に製作会社の個性、作風というのは言えないものなのですが、私は動画工房のアニメ作品を観ていると上記のような思いを抱くのです。

凄くアニメらしいアニメ。真っ直ぐなアニメ。

例えば、実写の映像を作品内に挟み込んだり、ジャンプカットなどのヌーヴェルバーグ的な映画の技法を取り入れたアバンギャルドなアニメ表現を得意としているアニメ製作会社もありますが、動画工房は奇抜な演出などをほとんど用いることなくあくまでアニメらしい絵作りに徹した作品を作り続けています。

また、原作を大切にし、そのおもしろさを余すところなくアニメーションにしてみせる丁寧さやキャラクター描写の上手さ、視聴者の情緒に訴えかけてくる作劇と雰囲気作りも各作品が大きな支持を得る理由のひとつとなっていると思います。美麗なアニメーションと真摯なシナリオ構成、演出が同居する贅沢なアニメ。それが、動画工房の最大の魅力ではないかな、と。

この後も、シナリオに人気作『シュタインズ・ゲート』の林直孝さん、監督に藤原佳幸さんを迎えたオリジナルアニメ『プラスティック・メモリーズ』の発表も控えている動画工房。これからの活躍にも、アニメファンとして大きな期待をさせていただきます!

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。