気分はサムライ! でも、身体はナマクラ……?

②剣術稽古

剣術指南の松木先生
  

稽古で使う刀は、『剣』ではなく『剱(ツルギ)』と呼ばれます。剱は三種の神器の一つでもあり、武器ではなく、祭祀の道具としても使われてきたのだとか。また、昔の日本人は人の心の強さ、感情は“腹(ハラ)”宿ると考えていたそう。お腹は身体の中心ですし、「腹をくくる」、「腹が据わる」など、多くの言葉もあります。

つまり、剱の稽古は腹の稽古でもあるのです。よし、“腹”を決めて立派なサムライにならなくては!

剱の持ち方、構え方を学ぶため、まずは木剱を使います。握手をするように握り、人差し指と親指はそえるだけ。普段あまり使わない指を使うので、持っているだけで手のひらが痛くなってきます。

 

  

『上段の構え』や『正眼の構え』という名前は聞いたことはあるものの、剱を振るのは初めて。実際にやってみると、単純そうに見えてかなり難しいです。

「構えは常に身体の中心(丹田)を意識するように」と言われるのですが、これも大変。そこに足の動き、腕の動き、剱の動きも加わると、まっすぐに立てているのかすら分からなくなってきます。ちょっと気を抜くと足元もふらつく始末。頭の中にある“サムライ”のイメージと、自分の動きはかけ離れています……。

しかし、まっすぐ前を見据え、木剱を振っているだけで身が引き締まる思いです。身体全体を使うので想像以上に疲れたものの、無心になって集中することで気分がすっきりしました。

続いて居合刀を使った稽古に入ります。こちらは鞘も付いていてかなり本格的。ずしりと重いです。腰に差すだけで気分は侍! ですが 、重いし、長いし、歩くのはとても困難。昔の人はこれに加えて脇差まで持っていたそうですから、さぞ大変だったでしょう。