韓国時代劇は宮廷ものが面白い! 今回紹介する『カンテク~運命の愛~』は、これまでに描かれることがなかったお妃選び=カンテクという宮廷のしきたりを教えてくれる一作だ。このドラマの魅力や見どころを、6回にわたって、多角的に紹介していく。第3回のテーマは、「王室を目指す女たちの戦い」。

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第3回 王室を目指す女たちの戦い

さまざまな思惑を抱えて揀択(カンテク)に参加する候補者たち

王室が舞台となる時代劇は数多くあり、後宮の女たちの争いも何度なく描かれてきた。

そんな中、本作が異色なのは王室に入る前の、王妃の座を目指す女たちの戦いを描いている点。それも、ただ競う様子だけを映すのではなく、王妃を選ぶ揀択(カンテク)に参加する娘たちが抱える、それぞれの事情や思惑が綴られているのが興味深い。

連載1回目でも触れたように、彼女たちが揀択に臨む姿はアイドルオーディションさながら。現代の人間の目で見ても共感できる部分が多く、その過程は一編のドキュメンタリーのようでもあり、人間ドラマとしての見応えも十分。

ドラマを見ていると、揀択(カンテク)参加者たちは彼女たちの姓に付けて「ホ閨秀(ギュス)」「キム閨秀」といった呼ばれ方をされているのが分かる。

閨秀は学問や芸術に優れた女性を指す言葉で、女流〜といった表現と同じだが、朝鮮時代は両班の娘に対する敬称だった。そんな閨秀たちは誰もが王妃になりたいと本気で考えているわけではなく、さまざまな理由で揀択(カンテク)に参加している。

例えば、全羅道から来た、食べることが大好きで気さくなパン・イェシルは「都見物ができれば」との軽い気持ちから。一方、両班ではあっても家門が傾いて、家族の希望を背負って参加したハ・ダニョンのような例もある。

ただし、候補者は経済的負担を強いられたため、実際には貧しい家の娘が後援者もなく参加できることはなかったようだ。ダニョンの場合も、支援を受けるが代償を払うことになる。ちなみに、揀択(カンテク)脱落者は一生結婚できないという話は誤った俗説で、実際にはその後結婚していたとの話もある。

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