イラスト 上田 耀子

私は背筋が寒くなりました。先に帰った彼女の幸せそうな笑顔が目に焼き付いています。そこで「今の彼女と別れたら、先に帰った彼女が本命になる可能性はあるの?」とさらに尋ねると、クリエイター男性が首を強く横に振ります。

「本命と別れて、遊びで付き合っている女を100%本命にする気はないよ。遊びで付き合っているって承知しているしね」と卑屈な笑いを浮かべて、ハイボールを飲み干したのです。

バーから帰宅途中、私は「遊ばれる女は、男にとって気晴らしでしかない」ということがわかりました。本命と遊び女の両方と付き合っている男は、ぞっとするほど冷酷だったのです。

それでもあなたは遊ばれる女になりたいですか。

まれなことですが、遊ばれる女が本命になることもあります。

女性が32歳のSE、男性は40歳の弁護士のカップルを紹介しましょう。女性は28歳の時に結婚し、30歳の時に離婚。バツイチになってから結婚より恋愛を重視し、複数の男性と付き合っていました。

一方弁護士の彼には本命ほか複数の女性の存在もあったため、二人はお互いに遊びと割り切って付き合っていたそうです。

「でも体の相性がすごく良くて、一緒に暮らすことになったの。いわゆる事実婚」と女性は当時を振り返ります。

ところが一年も経たないうちに破綻。理由は互いに「別の相手がいるのではないか」と疑心暗鬼になってしまったからだとか。

共に生きる夫婦には信頼関係が必要です。結婚前から信頼関係のあるカップルは長続きし、信頼のない場合はやがて別れがやってくるのです。

遊ばれる女が本命になったとしても、その先もいばら道です。果たしてあなたにはその覚悟はありますか。

コラムニスト、小説家、ルポライター。2万人以上のワーキングウーマンを取材し、恋愛、婚活、結婚をテーマに執筆。「英語でリッチ!」で第12回ライターズネットワーク大賞受賞。07年10万人に一人の難病を後遺症なしに完治。「生きるを伝える」(テレビ東京)に出演。ブログ:「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪」