彼女

放送作家の鈴木おさむさんがシナリオを担当したヒットドラマ『離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-』では、妻に不倫された夫がブライドをずたずたにされながらも、子供の親権を取るために涙ぐましい奮闘が描かれました。

サレ妻やサレ女などがネットで多発していますが、不倫や浮気をされるのは女性だけとは限りません。

男性も本命彼女に浮気されたり不倫されたりすることがあり、同じような悩みを抱えています。

わずかに違うのは、男性特有のプライドと男のメンツが、さらに彼らを苦しめるという点です。

浮気や不倫は相手に対する信頼感を根こそぎ壊します。それによって関係も終息に向かうこともあります。

ところがそれでも「彼女を選ぶ」と決めて結婚したり、別れても心がズタズタになる男性が世の中にはいるのです。その理由は一体何でしょうか。

サレ男の実例を挙げながら、そこから見える男性の本音を解き明かし、男女の機微という摩訶不思議な関係にも迫ります。

「彼女しかいない」。惚れた弱みはもちろん、サレ男がその女を選ぶ基準

1 彼女に浮気された広告マン(30歳)。それでも彼女と結婚した理由

広告営業マンのAさん(30歳)は3年付き合っている一つ年下の女性とゆくゆくは結婚したいと考えていました。

本命彼女がいるにも関わらず、Aさんは惚れっぽい性格で「恋するのは自由だ。彼女がいても、好きになるならそれでいい」とラテン系に近い感覚をもっています。しかし、本命以外の女性と付き合っている気配はなく、本命彼女一筋でした。

男と女の話が大好きなAさんは、「この間、部長と飲んだ時に、50代の女性をお前は抱けるかと聞かれたんだ。熟女とカラダの関係を持って、一人前の男だというんだよ、部長は。さすがだよな。オレはまだその境地に達していない。修行の身だ」など、女性としては聞き捨てにならないことをズバズバ言うので、その発言がハラスメントかどうかの検証すら忘れてしまうのがAさんの特徴とも言えます。

そんなAさんが「結婚する」と周囲に婚約の報告をしました。

結婚すれば、軽はずみな発言も控えるだろうと思われましたが、Aさんの友達から、婚約に至るまでの間に予期せぬことが起きたと聞きました。

「彼女が浮気をしたとAに打ち明けたそうだ。相手がどういう男かは知らないけど、彼女は二度と浮気をしないと誓い、それでも許せないのなら別れてもいいと言ったんだって」

これまで男と女の話題で軽はずみな発言をしていたAさんでしたが、大いに悩み、一か月ほどかかってやっと出た答えが「それでも彼女を選ぶ」という選択だったそうです。

結婚前に数人で飲んだ時、Aさんはそのことに触れ、こう言いました。

「浮気を打ち明けられた時はショックで、彼女に『考えさせてくれ』と頼んだ。すぐに彼女を許すことができずに、一時は別れようと思ったんだ」

ふとしたことで他の男と関係を持ったものの、やはり本命はAさんだと思っている彼女に対し、Aさんは「別れられない」と感じたそうです。

「彼女と別れたら、他の女と付き合えるのかといえば、できないと思った。想像もできなかったよ。オレはやっぱり彼女と結婚したいんだとわかった」

交際中に、既に彼女の両親をはじめ家族ぐるみで交流をしていたAさん。彼女の父親は会社では重要なポストに就き、人間としても尊敬できる人。だから彼女の家族とも縁を切りたくないというのがAさんの本音でした。

【結論】彼女以外の女性を想定できない。彼女の家族とも縁を切りたくない。そのため浮気を許して、ゴールインした。