「つい子どもにイライラしてどなってしまう」「子どもは可愛いのに、子育てがどうしてもしんどい」「私には育児が向いていないかも」…。

そのように育児に悩むママの声を、最近よく耳にする気がします。楽しみながら子育てをしているママもいるのに、向いていないと悩むほど育児がつらくなるママもいるのはなぜなのでしょう。

カウンセラーで、『お母さん、私を自由にして!』著者の高橋リエさんによると、子どもや育児、家庭に関するママの悩みは、ママ自身の「子ども時代」の育ち方やトラウマ(精神的ショックによる心の傷)に起因するケースが多いそうです。詳しいお話を伺いました。

「いい子」だったママほど、子どもにイライラしやすい

言うことを聞かない子どもにイライラした経験は、程度の差こそあれ、ママなら誰でもあることでしょう。この子どもへのイライラの感情について、高橋さんは次のように説明します。

高橋さん(以下、高橋)「ママが子どもにイライラしてしまうのは、子どもがさっさと支度をしない、行儀よくご飯を食べない、片づけをしない、歯磨きをしない、すぐ寝てくれない、といったことですよね。

いずれも、子どもが親の都合に合わせてくれないという状況です。子どもには、子どもなりの意志やペースがありますから、毎日が親の都合とのせめぎ合いになります。だから子育てって大変なんですよね」

もちろん、子育てはどんなママにとっても大変なものです。しかし、その感じ方は人によって異なります。実は、幼いときに常に親の言うことをよく聞く「いい子」だったママほど、イライラしやすい傾向があるのだとか。

高橋「といっても、いい子にしていたのは、ママ自身がそうしたかったからではないはずです。本来子どもは、子どもらしく天真らんまんに感情を表したり、駄々をこねたりするもの。

でも、そうすることでいつも母親や父親の機嫌が悪くなったり、きつく叱られたりすると、子どもは親に見捨てられないよう、必死で親の顔色をうかがいながら、自分の気持ちを抑えていい子を演じるようになります。

そんな子ども時代を過ごしたママの中には、インナーチャイルドがいて、子どもが子どもらしく振る舞うのを見ると、チャイルドが『なぜ私のように我慢して、いい子にしないのよ!!』と、怒りやイライラの感情を爆発させてしまうのです」

インナーチャイルド(自分の中の子ども)とは、心理学でよく使う言葉で、傷ついた時点で成長が止まってしまった自分の一部を指すそう。

このようにイライラが起こる理由を聞くと「なんだ、そういうことだったの!?」と目からウロコが落ちたママも多いのではないでしょうか。

「みんなと仲よく」親の教えが呪縛に…

そのほか、最近のママに多いという「子どもの友人関係が心配でしかたない」「ママ友との付き合いがつらい」といった悩みも、ママ自身の子ども時代の体験や親の言動が原因となっている可能性があるそうです。

高橋「小学生の下校時間になると、『今日は誰と約束してきたかしら』と、不安でいてもたってもいられなくなる、子どもがたまに家で一人でくつろいでいると、『お友達に嫌われたのでは?』と勝手に想像してぐるぐる悩んでしまう…。そんなママが、全国に大勢います。

子ども自身が友人付き合いで悩みやトラブルを抱えているわけでもないのに、先回りして心配ばかりするのは、ママの過剰反応であり、トラウマ反応を起こしていると考えられます。

この場合、もしかしたらママ自身が、親から『みんなと仲よくしなさい』『人に好かれなければダメ』と教え込まれてきたせいかもしれません。

一方、ママ友付き合いに悩んでいる場合は、無意識のうちに、相手に自分の母親を投影していることが多いです。子ども時代に、個性の強い親に常にコントロールされて育った人は、家の外で出会う他人にも自分の親を重ねてしまう傾向があるんです」