ママ友付き合いがつらい

「特に苦手な人と関わるときは、『この人は、私のお母さんじゃない』と、おまじないのように何度も唱えてみてください。それが案外、きくことがあります。

自分と同じようにママ友付き合いが苦手そうな仲間を見つけて、励まし合いながら乗り切るのもいいでしょう」

家事がイヤでしかたない

「子どもの頃、親にお手伝いを拒否されたりダメ出しされたりした記憶がある人は、自分のインナーチャイルドに『せっかくお手伝いしようとしたのに、あんなふうに言われて、悲しかったよね』と心の中で話しかけて、共感してあげましょう。

次に、『あなたは無理にやらなくていいよ』と伝えて、チャイルドを安心させてあげてください。

かわりに、今現在の『大人の自分』が、家事をやるのです。そんなふうに自分の中の子どもと大人を切り分けてみると、案外すんなり家事ができることがあります」

子育ては、ママのトラウマを癒すチャンス

筆者も、家事が嫌いで、つい後回しにするクセがあるのですが、今回高橋さんのお話を伺って、子どもの頃、父親が教育熱心で家庭内に「お手伝いより勉強優先」という空気があったこと、たまに家事を手伝ってもうまくできず、母親に呆れられていたことを思い出しました。

子育てでイライラしやすいママや家事が苦手なママは、「私ってなんてダメなの…」と自分を責めてしまいがち。

しかし、そうした心理の根本に、忘れかけている子ども時代の体験が関係しているとわかれば、不毛な自己嫌悪のスパイラルに陥らずに済みそうです。

ただ、悩みの原因が親の育て方にあったと思うと、自分の親を恨みたくなるママもいるでしょう。高橋さんは、親に複雑な感情を抱く「毒親育ち」のママたちに向けて、こんなふうに呼びかけています。

「毒親といわれる親たちのほとんどは、厳しい生い立ちで、子どもの頃、たくさん我慢してきた人たちです。決して好きで子どもにトラウマを植えつけたわけではなく、親は親なりに一生懸命子育てしてきたのです。

そう思えば、親への恨みや怒りも少し治まるのではないでしょうか。

そもそも現代人は、誰もが何らかのトラウマを抱えています。子育ては、子ども時代の感情体験をやり直し、傷ついたインナーチャイルドを癒すことができる貴重なチャンス。

我が子のありのままを受けとめて、子どもの気持ちに心から共感することこそ、チャイルドを癒してママ自身が子ども時代のトラウマから解放される近道なんですよ」

大人として母親として、常に責任を求められる立場ですが、ママだって、もとは「子ども」。ときにはゆっくり子ども時代を振り返って、子ども心や本当の自分を取り戻す時間も必要なのかもしれません。

取材協力:高橋リエ

母娘*謎解きカウンセラー。都内メンタルクリニック勤務を経て、2012年より、機能不全家族で育った女性たち向けにカウンセリングサロンをスタート。

「無意識の思い込み」に気づき「本当の自分」に目覚める「自分再生*リバースカウンセリング」を軸に、サロンのほか、ワークショップや各種講座を主催。無料メルマガ「母と娘の心の謎を解くメールカウンセリング」の会員は海外まで広がり、3年で5,000名を超える。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。