今の日本社会では、それまで見えなかったさまざまな問題が見えてきています。

世界的なセクハラ告発運動から始まった「#MeToo」運動をはじめ、身近なところでは女子受験生点数不正操作まで、子どもを持つ身にも無関係とはいえないことも多いですよね。

自分の子どもが大きくなる頃には真の意味での男女平等社会が実現していることを願いつつ、日々の子育てでは無意識に過ごしている人も少なくないと思います。

女性だから、あるいは男性だからという理由で夢をあきらめることなく、能力を活かせる子どもに育てるには、普段からどんなことに気をつければいいのでしょうか。

書籍『女の子だから、男の子だからをなくす本』(ユン・ウンジュ著・エトセトラブックス刊)を参考に説明します。

日本の「ジェンダー教育」の現実

時代の変化は、少しずつ私たちの生活にも影響を及ぼしてきています。性差による制服がなくなった学校や、受験願書から性別欄を廃止した学校もあります。

ですが、そういった変化はまだまだ少なく、子どもを取り囲む環境は昔のままであることも多いようです。

たとえ共働きであっても、女性の負担する家事の時間は男性の倍以上という調査結果があるように、家庭でジェンダーフリーが実践されていないと、いくら口で説明しても子どもは頭が混乱してしまいますよね。

ちなみに、世界経済フォーラム(WEF)が国別に男女格差を数値化したジェンダーギャップ指数のランキングでは、日本は156か国中120位です。特に政治部門は147位と下から数えた方が早い順位で、いかに日本が世界のなかでもジェンダーフリーが遅れているかを表しています。

国がより意識を変えて女性が活躍しやすい環境をつくってくれるといいですが、まずは夫婦で話し合ったり、子どもに対しての声かけを気をつけたりすることが大切です。

性別を理由に「子どものおもちゃ」を決めない

子どもが小さいときは、よほど意識していないとジェンダーフリー(性差に関係なく平等であるべきとする考え)を伝えることは難しいといえるでしょう。

たとえば、女の子が車のおもちゃを欲しがったとき、迷わずに買ってあげられるでしょうか。 日頃、子どもをのびのびと育てている人でも意外に難しいことかもしれませんね。

そもそもおもちゃメーカーの意識が「女の子」「男の子」にとらわれてしまっている場合もあります。

『女の子だから、男の子だからをなくす本』には、おもちゃのレゴ®に、女の子のレゴ人形が少ないことを不満に思ったシャーロットという女の子の話がでてきます。

さらに、男の子のレゴ人形は青で女の子はピンクだったり、買い物をしたりビーチにいたりするのは女の子で、仕事をする女の子がいないことにも不満をもった彼女はレゴ社に手紙を書きます。「女の子のレゴ人形にももっと冒険や楽しいことをさせてください」と頼んだのです。

幸い、レゴ社はシャーロットのリクエストにこたえ、女性の科学者セットをつくり、これが大ヒットとなったそうです。