「魔の2歳児」といわれるように、子どものイヤイヤ期はママ・パパにとって悩ましい時期。

けれど、イヤイヤ期は子どもの成長の過渡期であり、とても大事な時期でもあります。

ママやパパの対応によって、子どもの成長にいい影響を与えたいものですよね。

でも、普段の子どものイヤイヤに対して、どんな風に対処すればいいかわからない。そんなとき、ありませんか? 「これってやってもいいの?」といちいち人に聞けないものです。

そこで今回は、イヤイヤ期の子どもへの対応にまつわるよくあるお悩みに、子育ての専門家が回答します。日本乳幼児遊び教育協会代表で、ぐちゃラボ主宰の会田夏帆さんにアドバイスいただきました。

イヤイヤ期のよくあるシーン!こんなとき、これやってもいいの?!

叱るべきときは叱らないといけない。でも、そもそも叱ってもいいの?

会田夏帆さん(以下、会田)「伝えるべきことは伝えてOK。叱ることがいけないわけではありません。危険なことはしっかり伝えましょう。

ただし、叱るときに気を付けたいポイントがあります。

まず、叱るというのは、行動を正すためではなく自分や他人を大切にすることを知るために行うものということをぜひ知っていてほしいです。

正しい行動というのは、時と場合、そして見方によって変わってきます。交通ルールとして『信号を守ろう』とありますが、救急車は信号を守らないこともありますね。それは、その場では救急車が信号を守ることよりも命を守ることが優先されるからです。

お子さんには、正しい行動をしてほしいということではなく、自分や他人を大切にしてほしいこと、大切にするためにはどんな行動をすれば良いのかを子どもにもわかる言葉で伝えてあげてください。

いま、これをするとだれが傷ついてしまうのか、どうしたら大切にできるのかを伝えることが叱るということでもあります。

そして、ぜひ、叱るときには、『どれだけ私にとってあなたが大切な存在か』ということもあわせて伝えてくださいね」

何度言っても自分で服を着ない、食事をしない…こんなとき、ママがやってあげてもいいの?

会田「子どもの言うことをそのまま聞かなくて大丈夫!

このような場面で考えたいのが、この3つのこと。『子どもがしたいこと』『親がしたいこと』『親が子どもにさせたい・してほしいこと』です。

子どもには子どもの意志がありますので、残念ですが『親が子どもにさせたい・してほしいこと』は一旦、あきらめましょう。

例えば、お洋服を自分からすすんで着てほしい。ごはんを自分で意欲的に食べてほしいなどですね。

しかし『親がしたいこと』はあきらめる必要はありません。子どものしたいことと大人のしたいことは、両方とも、とても大切です。

例えば『お洋服を着たくない』と言うとき。子どもが『着たくない!』と言い出したときに、親はどうしたいのか?を考えてみましょう。『もうお出かけの時間だから洋服を着せちゃいたい!』と思うのでしたが、一声、子どもに『時間だからお洋服を着せますよ』と言ってお洋服を着せていいんです。

『今日は特に予定もないし、待ってみよう』と親が待ちたいと思うのでしたら、待つのもいいですね。

子どもにどう行動してほしいのかではなく、親がどう行動したいのか、という親の意志も判断基準の一つです。親がそうしたい!と決めたなら、そうして大丈夫です」

子どもがかんしゃくを起こしてもうお手上げ! どうすればいい?

会田「子どもがかんしゃくを起こしたときは、一生懸命なだめる必要はありません。

かんしゃくを起こせば起こすほど大人は言うことを聞くという間違った学習をしてしまうと、大人に何かを伝えたいときにはまず泣いたり、怒ったりするようになってしまいます。

大人が言い分をのんでくれないときには『もっと泣いたり怒ったりしたらいいんだ!』と思って、いつまでたっても手がつけられない、という悪循環に入ってしまいます。

かんしゃくを起こしたときこそ、大人は冷静になってそのまま見守ってください。

また、止めるよりも『泣いて良い』『怒って良い』と伝えてあげるほうがストレス発散になり、気持ちが安定することも。子どもがひとしきり泣いて落ち着いてから、どうしたら良かったのかを一緒に考えたり、お話をしてみましょう。

ただし、物を投げたり、暴れたり、飛び出したりしそうな子には、投げられそうな物は片づけたり、ドアには必ず鍵をつけるなど安全面の確保はしてくださいね」