家を買うにはたくさんのお金が必要なため、住宅ローンを組むという人が多いでしょう。
住宅購入には様々な税制優遇措置が設けられていますが、期限があったり制度の見直しがかかったりするため、どんな制度が使え、今後どのように変わっていくか注意しておく必要があります。
住宅ローン控除については今後見直しがかかり、今よりも控除が少なくなる見込みです。
控除が少なくなるということは、その分手元に残るお金が少なくなる人が出てくるということなので、どのように変わり、どうすればよいか考えていきましょう。
住宅ローン控除とは
住宅ローンを利用して家を買ったり、自宅を増改築したりした時に、年末の住宅ローン残高に応じて一定の金額が所得税から差し引かれるという制度があります。
その控除は所得を計算するときに引く所得控除ではなく、算出した税額から控除額をそのまま引く税額控除のため節税効果が高く、所得税から控除しきれなかった額を翌年の住民税から控除できることもあり、適用条件を満たせば住宅ローンを組んで家を買うと、払う税金を少なくすることができるのです。
期間を定めた特別な控除ということもあり改正も頻繁で、詳しくみると、どのような住宅なのかにより限度額が違ったり、取得や契約のタイミングによって控除期間が長くなったりするなど今は複雑になっていますが、もともとは居住の開始から10年間「住宅ローンの年末残高の1%」を控除できるというのがベースになっています。
住宅ローンは何千万円といった話なので、控除の割合が変わると何万円もの差になってくるのですが、2022年からこの1%の控除が変わる可能性があるのです。
「1%控除」はなぜ見直される?
住宅ローンは借金なので利子がかかり、その利子も住宅ローンの額が多いために多額です。住宅ローン控除はその利子負担を軽減する意味合いをもって設けられた制度です。
ところが現在の住宅ローンの金利がどれくらいかというと、1%を下回るものが多くなっているのです。
住宅ローン金利が1%を下回っているのに、住宅ローン控除でその1%分払う税金が少なくなるということは、負担を軽減するどころか、その差額の分だけ手元に残るお金がプラスになる(要は逆ザヤ)ということが起きてきます。
そのため、住宅ローン控除が適用される間はあえて住宅ローンを使って、税金を減らして得をしようとする人も出てきました。
相続や贈与などでも資産課税が強化されているように、本来の目的と違った制度の利用で得をするようなことは見直していこうという動きとも相まって、与党の令和3年度税制改正大綱 では住宅ローンの1%控除についても令和4年度税制改正で見直すと書かれているのです。