「飽きないこと」を観察すると得意な脳がわかる

例えば本を読むのが好きだったり、運動するのが好きだったり。子どもが飽きずにしていることをよくよく考えると、どんなことに最も興味があるのかがわかってきます。

やりたいことがわかっていると、飽きっぽい時間は少なくなり、それは子どもの得意を持つ、作ることにもなるといいます。

加藤「同じ飽きっぽい子でも、理由をよくみてみると脳の背景に違いがあることがわかります。『視覚系』が得意な場合と『聴覚系』が得意な場合、『運動系』が得意な場合とでは飽きる理由は全く異なります。

ものをよく見るのが楽しいと思う子は、いろんなものを見てワクワクする。だから同じ場所で同じ状況が続くとつまらなくなります。

言葉を聞いて理解するのが得意だとしたら、同じことを聞かされると『またそれ?』となります。『運動系』が得意な場合は、ふだん活動性が高いのに自分の得意な脳を使えないから、つまらなくなって飽きてくる。

苦手なことでは脳が働かないので、すぐいっぱいいっぱいになって時間稼ぎができません。私のように国語が苦手な子の場合、国語の時間が始まると5分ともたなかったり。けれども好きなことは飽きないので、どういう状況で飽きるのか、その理由が重要で、そこをしっかり受け止めることが大事かと思います」

ちなみに、男の子は何度言ってもわからない、女の子よりも手がかかるという理由は、男の子の「聞く力」が全般的に弱いせいなのだとか。「男の子は左脳の海馬が弱いので、聞いたことを保持していられない。頭の中に残せないんですね」

子どもは身近な人の感情の動きを学習している

ところで、子どもの感情はどのように生まれてくるのでしょうか。

加藤「子どもは感情の動きも真似して育つと考えられます。おそらく4~5歳の子どもの場合、自分の感情というのはそれほど発達していません。『嬉しい』とかの感情はあるかもしれませんが、細かい感情ではない。

感情は遺伝というより、むしろ育った環境が影響します。家族や学校の先生なども含め、周りの人の感情の動きにとても影響を受けやすい。特にお母さんの気持ち、こういうときには取り乱す、こういうときには怒る…といった場面場面での心の動きが小さいときほどうつります。お母さんの感情は脳の成長に大きな影響を与えるのです。

例えば、目の前で何か問題が起きたとします。そしてお母さんがその問題を聞いただけで怒り出すクセがあったとします。すると、その子どもも大きくなって同じような問題に遭遇した時、怒り出す反応をしてしまう。

一方で、何か問題があっても『そうなんだ』と冷静に話を聞き、『じゃあこうすればどう?』と策を考えて、実際に行動して、それがうまくいったとします。するとその子どもはそれらの記憶や体験から、問題が起きた時には解決策を探すようになっていくでしょう。

いつも丁寧に包み込むように話すのか、突き放すように話すのか…それによって子どもの感情は全く変わってきます。お母さんの話し方が子どもの感情を作り、子どもはお母さんの感情を学習している、とつくづく感じます」