2021年、グッときたV系作品を語る
藤谷：皆さんは、2021年にグッときた作品はありますか。
赤西：キズのベストアルバム『仇』かな。私はサブスクで配信されていたことをきっかけに、キズを聴くようになったんです。最初がベストアルバムっていうのもいいなと。これを聴くことによって、キズのやりたいことがなんとなくわかった気がするんです。
藤谷：キズのやりたいこととは？
赤西：歌詞をフィクションとしてではなく、自分の思ったことをそのまま歌っていくような感じ。
藤谷：それは他のバンドとは違うと感じたんですか。
赤西：キズも世界観を作ってるけどリアルさがあるっていうか、なんて言えばいいのかな、寄せ集めのそれっぽさがないって言う感じ。“最近のビジュアル系は誰も似てるな”ってみんな言ってるけど、キズからそういう感じはしない。
ヴィジュアル系がどれも似てるっていうのは衣装やメイク、楽曲の参照元がヴィジュアル系なので、表現がヴィジュアル系内で起結してしまっているのが要因な気がします。
キズはどこかから引っ張ってきたのではなく、自分が生きてく中でリアルに思ったことを掘り下げて作品にしているように感じました。
南：キズの楽曲の中にはヴィジュアル系シーンや世の中への主張を感じる曲もありますよね。
藤谷：幻想的なストーリー性を持っていても、メッセージ性を前面に出していなくても、比喩を通してそこに主張を込めた歌詞というのもあるじゃないですか。そうではなくて、ストレートなメッセージを込めているほうが、おふたりにとって「響く」ということでしょうか？
赤西：みんなモヤモヤしていることを言語化している人がいると嬉しいのかな。
南：キズは新曲の『ストロベリーブルー』も良かったですね。これまでは激しくて勢いのある楽曲が多かったので、キズといえばライブでがっつり暴れるイメージでしたが、これはじっくり味わえる感じの楽曲なので、ライブでも今までと違う雰囲気で見せてくれるのではと思っています。
