湊は自分と似ているな、と思うところが多かった
――湊を演じる上でどんなことを意識していましたか。
原作がとてもきれいな物語だからこそ、僕もちゃんとやらなきゃ、というプレッシャーがありました。あとは個人的にダンスシーンがあったり、初めて金髪にすることであったりと課題もあったので、これまで以上に繊細に丁寧に役作りをしました。
原作が正解ではあるんですけどそれをそっくりそのまま演じるのではなく、僕がやるからこそのアレンジは加えていきたいと思いました。大きく変えるというわけではなくスパイス的な感じですけど。
そうしないと自分の中で嬉しくないというか、自分がやる意味がなくなってしまうので、その辺りは監督と結構相談をしました。
あとは現場ではなるべく(柘植将人役の)浅香(航大)さんとしゃべるようにしたり。ドラマ版では4人(赤楚衛二、町田啓太、浅香、ゆうたろう)のシーンは後半の方に少しあるだけだったんですけど、(キャストの中では)最年少ながら自分からコミュニケーションを取るようにもしました。
――先ほど、湊は「僕自身にいろんなものをくれた」ともおっしゃっていましたが、どの部分でそう感じたのでしょうか。
ダンスをやっていたり、金髪だったりするところは僕自身と少しギャップがあるんですけど、ツンデレなところや、猫が好きだったり、心の声ではちょっと甘えたり、人との距離感に対して不器用なところがあったり、好きだけど直接好きって言えないところだったり、自分と似ているな、と思うところが多かったんです。
だから僕から監督に相談して湊をこういう風に演じたいと言うこともあって。監督がすごく丁寧に一緒に役を作ってくださる方で、何か疑問があったら自分も言うけど、僕にも言ってほしいと言ってくださって。平等な関係でいてくださったのでとても助けられました。
――例えばどんな提案をされたのですか。
原作でもそうなのですが、台本でも最初の頃の湊にはツンツンしているイメージがあったんです。ただ僕としては傍から見たらそうでも柘植さんからの見え方はフラットにしたい、と思って。
機嫌が悪いとかではなくあくまで仕事としてこの場で来ている、というような。セリフの言い回しや声のトーンでそういう雰囲気を見せたい、と監督にお話しました。
猫のうどんちゃんがきっかけで仲良くなっていく描写も、急にガラッと態度が変わるわけではなくてフラットなところから変わっていく方がいいと思ったので。そこは監督もその方が良いとおっしゃってくれて、僕的にもやれて良かったなと思います。
あとはダンスが……正直、難しかったので少し簡略できないかとお願いしました(笑)。クランクインの2週間前くらいから練習を始めたんですけど、それまで一人で踊ることはあっても誰かとコンビネーションを組んで踊るというのは初めてで。
グルーヴ感とかがホントに難しかったです。グループをやってる人はこんな感じなのかな?って思ったりしました。
――まさに湊の友達の六角祐太役の草川拓弥さんは、超特急というグループでダンスをやっていますよね。
拓弥くんとは過去に一緒に踊っていた頃の写真を撮る、という場面があったんですけど、現役でやってるだけあって軽やかでしたね。その場で先生が振り付けたものをやったんですけど、本当にリーダーみたいな感じで教えてくれたました。
教え方が上手くて全然嫌味がないんです。自分ができるとポンポン先に行ってしまうイメージがあったんですけど、一歩一歩僕に合わせてゆっくり教えてくれるのでありがたかったです。六角がいてくれてよかったな、と。
ただあとから聞いたんですけど、もともとは人見知りで自分から行くタイプではなかったみたいで。でもその時はお兄さんとしてリードしてくださったので、頼れる先輩っていう感じでした。