あそこまで人のためを想える直哉はすごい
――お互いに相手が演じた幸多、直哉との共通点を感じるところはありましたか。
佐藤:曽田くんと幸多が似てるかというより、僕の中では曽田くん=幸多になっちゃってて、そのぐらいマッチしてましたね。
曽田:直哉は結構完ぺきな感じなんですけど、友祐くんは可愛い性格をしているんですよ(笑)。今日の取材中も桜に勝手に名前を付けてて。
佐藤:あっ、つむぎ?
曽田:そう! 急に「この花の名前、何だと思う?」って聞いてきて、「えっ? 何言ってるの?」って思ったら「つむぎ」って言いだして(笑)。そういうちょっと笑えるかわいらしいところがあるので、(直哉との)ギャップがすごいです。
――演じていた本人として、役柄と重なる部分を感じることはありましたか。
佐藤:自分でもあんまりないと思います。自分を卑下するわけじゃないけど、あそこまで人のためを想える直哉はすごいな、って思います。
幸多がいろんな災難に見舞われ直哉との待ち合わせ場所に来られなくなってしまうときがあるんですけど、直哉は最低でも6時間くらいは幸多を待ち続けて、探し回っていてるんです。それは僕には無理だな、と。
あそこまでナチュラルに人のために頑張れるのはすごいし、直哉ほどはできなくても見習いたいな、と思いますね。
曽田:普通は無理だよ(笑)。
佐藤:そうだよね(笑)。この時代、普通は絶対になんらか連絡つくじゃないですか。幸多は不幸過ぎてつかなくなっちゃうけど。昔のトレンディドラマみたいなすれ違いが起きちゃうんですよね。
――曽田さんは自分と幸多が重なるところはありましたか。
曽田:幸多の八方美人というか、猫をかぶってしまうところは、僕自身もそうですけど、誰しも重なる部分はあるんじゃないかな、と思いました。人に良く見られたい、と思うことはありますよね。
ただ、幸多の場合はそこに自分の不幸に人を巻き込みたくない、という想いもあるんです。迷惑をかけたなくないから人とは浅い付き合いをするようにしていて、一人で生きていこうとしている。それはすごく肝が据わってるなと思いました。
僕も一人が好きだし、縛られたくないタイプですけど、直哉と出会う前の幸多のような感じは無理ですね。ちょっとは人と話したいから(笑)。
――演じていて大変だったことはありますか。特に幸多は不幸が降りかかってくる役なので、水をかけられるとか、いろいろありましたよね。
曽田:それに関しては大変ではありましたけど、幸多自身はその小さな不幸が起こり続けるというのは子どものころからずっとだから、どこか慣れてしまっていて、僕も「こういうこともあるんだ」って受け入れちゃってる部分がありました。
それよりも大変だったのは直哉の部屋でのシーンで。今回、撮影場所が同じシーンをまとめて撮るようなやり方だったので、例えば1話を撮ったすぐあとに8話を撮ったりしているんです。なので感情がどうだったのか、その都度思い出しながら演じるのは難しかったです。
佐藤:それはあったね。単純にお互いの呼び方も違うし、声も違うんじゃないかな。
――確かに、二人の関係性が深まって呼び方も「福原・篠宮」から「幸多・直哉」になりますし、気持ちが変われば声のトーンも違いますものね。
佐藤:相手を呼ぶその一言でさえ違ってくるから、話数が行ったり来たりしながら撮るのは僕も難しかったです。
あとは個人的にはアドリブがうまく入れられなくて。直哉は性格的に自分から率先して話したり、盛り上げたりしないから、それをやるとキャラが崩れちゃうんです。そこはもどかしかったですね。自分自身のレパートリーの少なさも感じました。