「俺の方がキスするの先じゃん」って
――吉野監督とはどんなやり取りがありましたか。
曽田:大泣きするシーンのときは、「気持ちができてからでいいよ」って寄り添ってくださいました。そのおかげで少し楽になれたりもしました。
あとはシーンについて監督と話し合うときは、いつも友祐くんが率先してアイデアを出してくれていて。すごいなって尊敬していました。
――アイディアは事前に考えているのですか。
佐藤:僕はわりと事前に形を考えていくというか。そこから現場に入ってテストをやっていく中で感情を入れながら判断はするんですけど、自分の頭の中で演技をしてから現場に行きます。逆に決め込み過ぎていると失敗しちゃうときもあるんですけど(苦笑)。
でもそうやって考えていたものを、現場で監督から「アイデアがほしい」と言われたときに出せるようにはしていました。
――曽田さんは事前の準備はする方ですか。
曽田:考えるんですけど、それを一度忘れて現場に入ってます。軸はブレさせずに、でもスタートまでは何も考えない。余計なことを考えるとできなくなってしまうタイプなので。
――それぞれ演じる上で軸としていたところは何ですか。
曽田:幸多が周りの人のことを大切にしているところは絶対にブレさせずにいようと思っていました。その辺りはモノローグにも現れてくるので。
佐藤:僕も同じというか、人のことを大切にできるところが幸多と直哉が似ているところだと思うんですよね。その気持ちが大きかったと思います。
――印象に残っているシーンは?
佐藤:(曽田に向けて)直哉の家のシーンは濃くなかった?
曽田:濃かったですね。
佐藤:撮影期間の最初の方に直哉の家でのシーンをまとめて撮ったんですけど、一緒に寝たりとか、とにかく二人の距離が近いシーンが多くて。だから(撮影の)後半はもう慣れているから距離が近いとかも感じなくなっていて。
実はキスシーンはその撮影のあとに撮ったので、「ドキドキするんだろうな」とかって思っていたんですけど、もう近いのに慣れてたから思っていたほどではなくて(笑)。
曽田:逆に幸多からほっぺにチューするシーンの方を先に撮っているんですよ。「俺の方がキスするの先じゃん」って思って(笑)。でも直哉の家のシーンから始められたことで、早く仲良くなれたっていうのはあったので良かったです。
佐藤:最初に一対一で向き合うシーンを撮れたから、作品へ入り込みやすかったし、今思うといい順番で撮っていただいたんだと思います。
――楽しいキャンパスライフシーンもありますよね。
曽田:学生役のキャストさんは面白い方がたくさんいらっしゃって、同年代が多かったのでみんなでしゃべったりしているだけですごく楽しかったです。僕のリアルな大学生活とは全く違う楽しい時間を過ごせました(笑)。
――実際はあんな感じではなかったと?
曽田:僕の大学生活はとにかく授業を受けてすぐに帰るみたいな。工業大学で男子が多かったので、今回、違ういい思い出を作れました(笑)。
佐藤:さっきも言いましたけど、撮影が直哉の家のシーンからだったので、直哉が一人で家にいるシーンもあるから、その期間は先に一人のシーンを撮って、二人のシーンを撮って、最後にまた一人のシーンを撮る、みたいな。ずっと出演シーンが続いて大変だったんです。
けど、大学でのシーンは逆に出番が少なくて、空き時間に『るろうに剣心』を見始めて終わるくらい余裕があったんですよね。大変なシーンから解放されたあとでもあったので、普通にキャンパスライフを楽しんでました(笑)。