「育自」を意識するようになって変わった!ママの体験談

実際、ママたちは、ただの「育児」から、「育自」を意識するようになったことから、どのように変わったのでしょうか。4名のママの体験談を教えていただきました。

『育自の考え方に変えたら、イライラが減りました。「子どものイライラや癇癪にも対応してるなんて、私自身、すごいな。そこに引きずられずに穏やかでいられるなんて人間的に成長してないと無理だもんね!!」と自分をほめられるようになりました。

また、趣味の漫画や映画等を観るときも『感受性を高められるから、育自だなぁ』と思うようになりました。『私の成長している姿を見て、子どももより一層成長するな』と思えるようになりました』

『子どもが「これができない」「なかなか成長しない」ではなくて、自分を育てるつもりで過ごすと、自分の成長に合わせて子どもが成長してくれてると実感しています』

『子どもが小さい頃は余裕がなく、自分のことを後回しにして、具合が悪くなるまで気付けないことがありましたが、育自を意識することで、自分をメンテナンスするための時間をとっていい、自分を楽しませることに罪悪感を持たなくていい、と思えるようになりました』

『夢ができました。頑張っている、いくつになってもキラキラしている、そんな母親の後ろ姿を子どもに見せたい。その後ろ姿を見て何かを感じ、自分の成長につなげて欲しい。そんな想いが今の私の原動力になっています』

とても素敵な体験談ばかり。こんなにも嬉しい変化があるとは! 育自の威力はすごいですね。

産婦人科医に聞く「育自」の意義と実践法

産婦人科医の先生にも、育自についてお話をうかがいました。

先日、世界初の女性の健康に関する大規模調査「ホロジック世界ウィメンズヘルス指数(2020年)」が公表されました。日本人も含めた、世界116ヶ国、約25億人の15歳以上の女性の健康に関する感情と行動を可視化したものです。

日本のランキングは116ヶ国中24位という結果に。食べ物や住居など日常的なニーズを満たすリソースが十分にあるか、という点においてはスコア「94」と高く、ランキング4位でした。一方、その他の点については多くの課題が明らかになり、特に予防医療の点においては116ヶ国中91位と非常に低い結果となりました。

この指数のオンラインで発表メディアセミナーに登壇していた産婦人科医の対馬ルリ子先生に、ウィメンズヘルスの観点から「育自」に関してうかがいました。

対馬ルリ子先生(以下、対馬)「日本は性教育や健康教育が遅れているので、自分で自分の健康を作り、人生を自己決定していく力が足りないことから、みな『育自』が必要です。

人生100年時代、人間はずっと発達し、進化していき、心と感性を豊かにはぐくんでいくという考え方が必要だと考えます。育自を意識することで、母親は今は未熟でも、これから育っていけばいいという安心感と前向きな気持ちを持ちながら育児ができると思います」

具体的には、育自としてどのような行動をすればいいでしょうか。

対馬「人に惑わされず、よく勉強し、医師などの専門家を自分の『友人』として相談し、自分で自分の人生を生きて行くこと。もちろん、ちゃんと食べて寝て、休むことも大切です。

また毎年、健診・検診を受けること。毎年1~2回のメンタルケア、カウンセリングや女性検診(婦、乳、骨、ホルモン等)を受け、今の自分を100年人生の中で俯瞰して見るようにしましょう。実際、産後2か月、4か月、6か月に産後ケア検診に通い、経験や悩みを助産師や医師と共有し、子育てママ応援のお店を開いた女性もいます」

育自は、意識の面のセルフケアはもちろんのこと、定期的に健康をチェックするといったような予防医療の観点からのセルフケアも重要であるようです。

育児に疲れたと感じているなら、育自を意識してみるのもいいのではないでしょうか。

【取材協力】山口 ひとみさん

NPO法人育自の魔法 代表理事
育自の魔法の創設者。NPO法人育自の魔法は埼玉県川越市で2003年に生まれた「自分を大事にする」ワークショップを全国で展開している。現在ファシリテーターが60名余。これまでの受講者数は1万人を超える。2015年内閣府より女性のチャレンジ賞特別部門受賞。

対馬 ルリ子さん

産婦人科医師・医学博士
医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス
女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長
女性の心と体、社会との関わりを総合的にとらえ、(女性の)生涯健康を支援している。2020年には一般財団法人「日本女性財団」を設立。「女性の生涯の心身と社会的なウェルビーイングを支援する」というテーマを掲げ、困っている女性を助ける活動をしている。

ライター。美容、健康、グルメなど、今ドキ女性が気になる情報をお届けしています。素朴な疑問を調査したり、専門家に聞いたりして、分かりやすく読者に伝えるのがモットー。