最近、本屋さんでもよく見かけるようになった「人生論」についての本。

「超高齢化社会」や「人生100年時代」といった言葉が飛び交うなか、老後の生き方に不安を抱える世代の道しるべとして、人生の諸先輩方が綴る「人生論」には勇気がもらえます。

それら多くの「人生論」著者のなかでも、特に異彩を放っているのが “82歳のおばあちゃんプログラマー”若宮正子さん。

若宮正子さん

60歳で定年したのち出会った、パソコンとインターネット。すっかりハマった若宮さんは、プログラミングを勉強し、81歳でiPhoneのゲームアプリを開発。

2017年6月、米アップル社の「世界開発者会議(WWDC)2017」に招聘されたことをきっかけに、国内外で“コンピューターおばあちゃん”として一躍有名になります。

2017年9月には、安倍政権による「人生100年時代構想会議」の有識者として選出され、シニアが活躍できるような社会づくりを提言。自らも自宅でシニア向けのパソコン教室を開くなど、その活動は多岐にわたります。

年齢や性別にとらわれることなく、自由な発想でいきいきと人生を楽しむ若宮さんのユーモアあふれる言葉には、楽しく歳をとるための秘訣や次世代へつなぐ思いが詰まっていました。

 女性が活躍できる時代だからこそ、性別や年齢にとらわれないで!

──WWDC 2017に招聘され、「人生100年時代構想会議」では有識者として参加されている若宮さんですが、昨年末には日経WOMANが選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018」も受賞されたということで。

そうなんです。「人生100年時代のロールモデル賞」をいただきました。恐縮しちゃいますよね。

でも、同じく受賞された方々が、すごく素敵で素晴らしい女性ばかりだったので、「ああ、いまの時代は女性もどんどん活躍する場があるんだなあ」と実感しました。

──女性が活躍できる時代に、なにか若宮さんなりのアドバイスはありますか?

「女性だから」とかって、あんまり考えないほうがいいんじゃないかと思います。

私も「高齢だから」っていうのはあまり考えません。チャレンジがうまくいかないこともありますが、それは年齢のせいではなく、自分の努力や知識が不足しているだけなんですよね。

だから、あんまり性別や年齢を意識しないで、「同じ人間なんだから、私にもできるはず」って考えて、なんでもチャレンジしてみると良いのではないでしょうか。

──若宮さんが未知なるチャレンジをされるときは、どんな気持ちで臨んでいますか?

すべて「80'sの冒険」だと思って挑戦しています。本当に大冒険ですよね。

──冒険をするうえで心がけていることなどはありますか?

『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』にも書いたのですが、「やりたいと思ったことは、とりあえずやってみる」ということですね。

私はいつも「これをやりたい!」と思ったら、それだけに集中して、とりあえずやってみちゃうんです。

そうやってやりたいことをやってきて、82歳になったいまも、やりたいことがたくさんある。でも最近は忙しくて時間が足りないんですよ……1日がもう少し長いといいのに!

──2017年6月のWWDC2017に出席されてからまだ半年ちょっとですが、若宮さんは、ものすごいスピードで駆け抜けていらっしゃる印象があります。

いろんなことがぎゅっと詰まった激動の半年でしたね。80歳で死んでいたら、この……良くも悪くも“騒動”に巻き込まれなかったかなあって思います(笑)。

この間もビックリしちゃったんだけど、テレビを観てたら私が出てきたんですよ(笑)。「人生100年時代構想会議」に出席している映像で、安倍首相の前にちょこんと小さなバアサンが座ってるの。「あ、私だ!」って(笑)。

──(笑)。2月には国連に招聘されて、ニューヨークにも行かれるとか?

そうなんです。「シニアにとって、ICTの活用がどれだけ重要か」といったようなことを、自分の経験をもとにお話しする予定です。下手な英語ですが、スピーチを用意しています。