お金の「そうなんだ!」「本当?」といったいろんな知識をファイナンシャル・プランナーの筆者が紹介します。
今回は「一生、シングルかも…?」と思ったとき考えておきたいお金のこと、ちょっと考えてみましょう。
4人に1人は、ずっとシングルの時代に
未婚率がぐんぐん上昇しています。2010年度で生涯未婚率が男性20%、女性10%に達したと発表されました。このペースで行くと、4人に1人はシングルの時代がやってくると考えられています。
未婚率の上昇はここ最近のことです。1990年まで男女とも5%前後であったことを考えると、女性は2倍、男性は4倍にも跳ね上がっています。
かつては30歳前後で結婚しないと社会的に一人前と見なされず、会社での評価に影響したり、ご近所で噂話の対象になったものです。結婚はなかば義務のようなものでした。しかし、今は「結婚したくないならしなくてもいい」という社会になりましたので、未婚率の上昇はそうした時代の変化を反映しているのでしょう。
しかし、「結婚しないなら、しないなりにお金のこと」を考えておく必要が高まっています。マスコミは、「おひとりさま」をネタにはしていますが、ちゃんと備える方法はほとんど教えてくれません。少し考えてみましょう。
シングルが考えなければいけないお金のテーマは3つある
一生シングルでいく、と考えるなら、「お金の問題も一生ひとりで解決する」と覚悟を決めることが必要です。これは当たり前ですが、重要な事実です。そのうえで、考えておきたいお金のテーマは大きく分けて3つあると思います。
1つめは「家」の問題です。一生シングルで暮らす家を確保しなければなりません。親の家がある場合を除けば、家を買う必要があります。一生賃貸でもいいのですが、その場合は、国の年金に家賃代がないと考えて貯金が必要です。家を買うなら買うためのお金、一生賃貸なら、老後の20年以上住めるお金の準備が必要になります。仮に5万円の家賃であっても20年暮らせば、1200万円必要です。
2つめは「老後」の生活費の問題です。シングル派は、正社員シングルと非正規シングルで経済的余裕が大きく変わりますが、老後に必要な額も変わります。どちらの場合であっても、国の年金だけでは不足するはずですから、自分の生活水準に見合う老後の備えを考える必要があります。国の年金に毎週1万円足りないとすれば、年間52万円、20年で1040万円必要になります。
3つめは「健康・介護」の備えです。シングルライフでケガをすれば、通院生活もひとりで行います。介護を必要とする状態になれば、支えてくれる配偶者(妻や夫)はいませんから、すぐにお金を使って介護サービスを利用する必要があります。もしものときに備えたお金の準備が必要なのです。人生最後の10年に年100万円使う必要が生じればざっくり1000万円必要かもしれません。