驚くばかりのビーズ装飾はぜひ間近で
ニューオーリンズのハロウィンパーティでは、山車の上から観客に向けて投げられる首飾りが投げられるのですが、こちらはプラスチック製のビーズが使われています。
色ごとに意味があり、紫は「正義」、緑は「信仰」、金は「力」をそれぞれ表しているそうです。
北アメリカもビーズ製品の宝庫。自然素材からできたビーズ細工の伝統と、動物の皮革や毛を使用する装飾技術があったことで、ガラスビーズがスムースに浸透したと考えられています。
隙間なくきっちり縫い止められたビーズが織りなす模様は、アート作品を見ている気持になります。
ビーズによるアート作品と聞いて、ビーズバッグを連想する方もいるのではないでしょうか。グラデーションの細やかさやビーズによる凹凸感が表情豊かで、ノスタルジックで飽きの来ない美しさです。
結婚式など祝辞の席で使用される装飾品として大切にされ、母から娘へと引き継がれてきたビーズバッグですが、昭和30〜40年代以降は生産数が減り、現在では数名の職人のみが作る状態だそうです。
ビーズとアートが出会って生み出す新しい世界
ビーズは装飾品の材料以外に、絵画の画材や立体作品の素材としても使われるようになりました。
『貴婦人と一角獣』をモチーフにしたタペストリーは、一本の糸にガラスビーズを通して作られていて、ビーズの色鮮やかさと輝きが画面全体をより一層奥深くしています。
また、ビーズの絵画も。絵の具で彩色した上にビーズを貼り付けることで、画面内の立体感や光加減が生み出され、「ビーズってこんな使い方もできるんだ!」と新たな発見がありました。
日本のビーズ織りの技術に、ジンバブエの廃材ワイヤーを使用するワイヤーアートが加わり、「ワイヤー・アンド・ビーズアート」という新しいジャンルのアート作品も誕生しました。リアルな造形と躍動感のあるポーズに、今にも動き出しそうな印象すら受けます。
白井晟一氏が設計した建築作品と世界中から集められたビーズ作品が織りなす世界は、時間を忘れてしまうくらい濃厚でした。今回の展覧会は一部エリアを除き写真撮影が可能なので、思わず写真に収めたくなるほどです。
見れば見るほど魅入られるビーズの世界。芸術の秋の締めくくりに、渋谷でビーズを堪能してみるのはいかがでしょうか?
ライター:青木美佳(イベニア)
【展覧会概要】
<会場>
渋谷区立松濤美術館
<開催日時>
2022年11月15日(火)〜2023年1月15日(日) 10時〜18時
※毎週金曜日は20時まで開館します。(入館はいずれも閉館の30分前まで)
<休館日>
月曜日(ただし1月9日は除く)、11月24日(木)、12月29日(木)〜1月3日(火)、1月10日(火)
<料金>
一般800円(640円)、大学生円640(510円)、高校生・60歳以上400円(320円)、小中学生100円(80円)
※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
※障がい者及び付添の方1名は無料
★ビーズ割引★
入館日当日にビーズ(さまざまな部材に穴を開け、複数個を糸などでつないだもの)を身に着けてご来館されたお客様は、通常料金から2割引でご入館できます。割引の併用はできません。
★写真撮影OK★
本店では、展示室での写真撮影が可能です。(一部不可な資料もございます。詳しくは受付でお渡ししている注意事項をお読みください)