東京ドーム4days第3日目のあの企画は、この間の総選挙で選抜入りを果たした16名が1曲ずつ、ソロを歌わせてもらえるというものでした。ソロ曲を持っているメンバーは自分の曲を、ない子は自分の歌いたい曲を歌ったんです。私は自分のセンター曲が『奇跡は間に合わない』の1曲しかないので『奇跡~』になるかなーと思ったんですけど、あれはユニット曲で、佐江がソロで歌う曲じゃないなと。

それで候補として才加の『虫のバラード』が挙がったんです。いまの自分を出せる曲って才加の歌なんじゃないかな、才加のファンの方だったら、これを自分が歌っても受け入れてくれるんじゃないかなって思って。でもやっぱり「佐江が歌っていいのかな?」という気持ちもありました。思い切って才加に聞いたら「歌ってほしい」って言ってくれたから「じゃあ歌わせてくれ!」と(笑)。あの曲を歌ってきたメンバーは過去に何人もいたけど、才加の卒業後一発目に自分が歌えたってことがすごくうれしかったです。

考えてみれば、これも総選挙でファンの皆さんが選抜に入れてくださったから、だからあの日、才加の想いを継いで『虫のバラード』を歌う機会を与えていただけたんです。そういう意味でも、ファンの皆さんには感謝してもしきれません。

でもね、せっかくのソロだったんですけど、才加と一緒に歌いたいなって思ったから、才加のバックコーラスの音量をいつもより大きめにしてもらったんです。そうしたらリハーサルで、イヤーモニターの自分の声が聞こえなくなって、才加の声だけが聴こえてきちゃったもんだから、もう涙が止まんなくなっちゃって。。。

才加の声が流れた瞬間、

ですもん。周りも驚いただろうけど、自分でビビりましたよ、私キモいなーって。それにいつも自分が歌う時には録音をしているんですけど、リハの歌を聞いてみたら泣いて音を外しまくってて、あとから超凹みました(笑)

――でもドームツアーでも、AKB48劇場での卒業公演でも、笑顔で才加ちゃんを送り出せていたじゃありませんか。

才加の卒業は悲しくはなかったから。リハで号泣はしましたけど(笑)

逆に麻里ちゃんとか、ともちんの卒業のほうが悲しかったかな。麻里ちゃんやともちんは、向こうは1期と2期の間に先輩後輩なんてないって思っているかもしれないけど、自分の中ではやっぱりAKB48の先輩だし、AKB48グループをここまで盛り上げてきてくれたのは誰よりも1期生だと思うから。

才加の卒業は、悲しいよりうれしいほうが大きかった。最後に同じチームKで踊りたかったっていう悔いはあったけど、反対にそれ以外で才加とやり残したこともなかったし、才加自身もAKB48でやり残したことは「ひとつもない」って言っていたし。逆にたくさんの伝説や、歴史を残してくれたから。

そういう意味でも私は早くSNH48のステージに立って、AKB48グループとして頑張らないとってあらためて思いました。この1年、私もいろいろありましたけど、AKB48もあっちゃん(※前田敦子ちゃん)から始まって、12人もメンバーが辞めているんです。そんな転換期のいまだからこそ、自分がAKB48グループの顔になりたい。これまでは自分の卒業のこととかも考えたりしたことがあったけど、いまはまた考えなくなりました。

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