自分のなかのクリエイティブが目覚めた撮影

前田拳太郎 撮影:友野雄

今回の撮影で、もっとも刺激的だったのは? そう問いかけると、前田の夢がチラリと覗いた。かねてから「クリエイティブな人に憧れがあった」のだという。

「普段はあまりしないような、派手で奇抜なメイクをした写真がお気に入りです。僕から『アーティスティックなメイクで撮りたい』と提案させてもらいました。僕、クリエイティブな人に強い憧れがあって。メイクさん、スタイリストさん、カメラマンさんなど、尊敬するクリエイターさんたちと協力しながら、いつもとは違う、モードな雰囲気の写真を撮りたかったんです。いまの自分が持っている引き出しを開けられたかな、と思います」

特撮シリーズの主演を経て、月9の撮影にも忙しいさなか、役者としての感性を刺激される現場だったのでは。「良い意味で、前田拳太郎に対するイメージを崩したい」と語る彼の目には、少しのイタズラ心も感じられる。

「音楽も好きで、オフの日にはよく邦バンドのライブにも行きます。元気をもらえるし、大変なことがあっても背中を押してもらえる。自宅でも音楽を流しっぱなしです。僕も、役者として、お芝居で人の感情を動かせたらいいな」

クリエイティブな感性を開きたい、と臨んだ撮影は、都内にとどまらず、新潟県・佐渡島でも敢行された。綺麗な海、どこを切り取っても息を呑むような美しい景色を「どこも思い出に残っています。その場所に対する僕の思いも、写真に表れているんじゃないかな」と振り返る。

「僕、アニメが大好きなんですけど、まさにアニメの世界に出てきそうなくらいに綺麗な風景ばかりで。とくに海での撮影は印象深いですね。言葉にもならない声で叫びながら、波に揉まれていました。結構、上半身が裸の写真も多いんですけど……気づいたら、服がなくなってましたね(笑)」

美しい肉体美に、さぞ入念な準備をしたのだろうと想像してしまうが、本人いわく「体作りは、正直あまりできなくって。空手をやっていた学生時代の貯金です」とのこと。トレーニングは日々欠かさず行っており、ジムに行く、または自宅でダンベルや腕立て伏せをするのが日課なのだとか。

前田拳太郎 撮影:友野雄