4.放置される私

全くモテません。これってセクハラじゃないですか?(168cmさん・26歳)

 

 

お気持ちはわかります。セクハラの定義は「異性に受けた不快な言動・行動」ですから、「完全に放置される」という仕打ちほどひどいものはありません。これをセクハラとして訴えることができれば良いのですが、残念ながら該当の男性は何もしていないため罪に問うことができません。

168cmというのは貴女の身長でしょうか? 私もそうだから分かるのですがこうも身長が高いとなかなか女性らしい服装・仕草・言動を実行したりかわいこぶったりすることが難しく、あざとい低身長の小動物系女どもが「あ~ん失敗しちゃった~」てな体で自分のミスすら女性性を演出する小道具にしているのを見るにつけ怒りと嫉妬で全身の血管がはち切れんばかりに煮えたぎり握りしめた拳も震えるわけですが、こういったところに対して冷ややかな視線を送ったところで男から得られる反応は「うわっ、怖」以外の何物でもありません。

どうして男はあんなに見る目がないんだ? と嘆く日々も私にはありましたが今は暖かな諦観が私を包んでいます。だって男はクソなんですから、いいですか、男はクソなんです。

 

 

 

 

5.せつこへ

せつこへ。東京の暮らしはどうですか? ちゃんと野菜は食べていますか? 家賃は払えてる? 部屋はちゃんと片付けてる? どうせインスタントラーメンばかり食べてるだろうから、お母さんが作ったカレーをタッパーで送るから、冷凍しておいて少しずつチンして食べてね。ご飯も毎日炊かないとダメだよ? 夜道を歩くときは遠回りしても明るいところ、人通りの多いところを通るんだよ。

お母さんはお金を稼ぐのとお父さんのことで手一杯で、あんたが家にいる間に手をかけてあげられなかったのが心残りです。年末とお盆だけでもいいから帰ってきてね。(より子・59歳)

 

 

お母さんありがとう。でもこれはセクハラの相談コーナーなので、人が見ていて恥ずかしいから荷物を送るとかそういうのは私に直接メールしてくれるかな? メールアドレス教えたよね? 

あと、カレーもありがたいけど、私はちゃんと自炊してるから心配しないで。部屋も片付けてます。年末には帰るつもりだからお母さんはのんびりしててね。

 


せつこ、荷物はここに置いておけばいいかい?

 

ちょっとお母さん!? いつの間に東京に来てたの!? というか一階のロビーにオートロックあるのにどうやって入ってきたの!? そして送ったんじゃなくて直接持ってきたの!?

 

お母さん、あんたがちゃんと生活できてる心配でねえ・・・。

 

ちゃんとやってるから心配しないでって言ったじゃない、もう・・・。
腰が悪いんだから、そんな重い荷物持って無理しちゃダメだよ。

 

あんた東京でいい人見つけたのかい? お母さん、あんたが結婚しないのはお母さんのせいじゃないかと思ってねえ。

 

そんなことないよ。一人でやっていこうって決めただけだから・・・。

 

 

ほら、お父さんがあんなだったから毎日あんたに愚痴ばかり聞かせてたでしょ? 確かにお父さんは働かないわギャンブルはするわ、浮気するわで最低の男だったよ。あんな死に方だったしね。でも、せつこは紛れもなくお母さんとお父さんの子供なんだよ。お父さんと結婚しなかったらせつこは生まれなかったんだよ。
 

 

だからね、せつこ、お母さんはお父さんのことは今でもひどいクズだと思ってるけど、あんた、せつこが生まれてからは結婚したことを一度も後悔したことはないんだよ。だからせつこ、あんたには私の二の舞になってほしくはないけど、だからってお父さんや他の男のことまでみんな恨んでほしくもないんだよ。それがお母さんのためであってもね。
 

お母さん・・・。

 

 

(お母さん、しばらく見ないうちに小さくなっちゃったなあ。いや、私が大きくなっただけかな。昔は美人なのが自慢だったのに、今じゃただのオバサンだもんなあ。白髪もずっと増えた気がする。考えたら私のこと女手ひとつで育ててきたんだからそりゃ老けもするか)
 

 

(当たり前のように思ってたけど、お母さんは私を育てるのにどれだけ苦労したんだろう。どれだけ大変だったんだろう。私がお母さんだったら折れちゃってただろうな。それなのにいつもあっけらかんとして・・・お母さんは本当に肝が据わった人だったんだな)

 

おか・・・

 

 

 

 

 おがあさん・・・。



 

お母さん、ごめんね。私、お母さんのこと安心させてあげたいのに、仕事も辞めちゃうし、いつまでたっても結婚もしないし、毎日レトルト食品ばっかり食べてるよ。でもいつかちゃんとお母さんのこと楽にさせてあげたいし、そのために今がんばってるから、だから待っててね。もう少しだけ待っててね。
 

 

あんたは本当にいい子だよ。お母さんが頑張れたのもあんたが居たから、ただそれだけだし、あんたはお母さんと違って幸せになる権利がある子なんだよ。だからお母さんせめてあんただけには人並みの生活を送らせてあげたかったけど、女ひとりじゃ限界があってね。本当にごめんね、せつこ。ごめんね・・・。
 

 

謝らないでよ、おかあさん、謝らないでよ。謝ることなんかひとつもないよ。あたしはお母さんと二人で暮らしてきて不自由に思ったことなんか一つもないんだよ。だから、お願いだから謝らないでよ。だって・・・。

 

 

 


(だって、お母さんは宇宙一のお母さんだから・・・)

大学を中退して成り行きで専門学校を卒業し、ろくに就職もせずにオモコロというサイトで出鱈目な記事を書き続けて数年、分かったのは人はインターネット上で存在感が増すほど社会的にゴミに近付いていくということでした。

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