世間では通用しない「自分の事情」

既婚男性は、Aさんと一緒にいることで「不倫だ」と誰かからとがめられたら、「自分の事情をちゃんと説明する」と何度も口にしたそうです。

妻の不倫が理由で一年別居していること、離婚したいが向こうに拒否されていることなど、それは確かに真実ではありますが、それでも問題になるのは「その状態で独身の女性と付き合う自分について」です。

男性の言う通り「いずれ」離婚が成立する可能性はありますが、それを待つことを独身女性に強いるのは、対等とはいえず身勝手な願いです。

客観的に見れば、「絶対に離婚するという保証もない状態で独身女性を自分のもとに縛り付ける」のが男性の姿であり、「本気で好きだからあなたも俺だけにして」とAさんに迫るのは筋が違います。

「あなたは彼のことを本気で愛しているの?」と尋ねると、少しの間を置いて「はい」とうなずいたAさんの逡巡は、「先の見えないつながりに一方的に留め置かれる自分」が見えるからでした。

自分では「こんな事情があるから仕方ない」「間違っていない」と思っても、世間がそうは受け取らない現実を、既婚男性は考える必要があります。