連日の報道や、スーパーマーケットの店頭で「卵の値上がり」を実感する人も多いことでしょう。
実際、数年前よりも2倍ほどの値に上がっていることもあり、卵を扱う加工食品メーカーなどの中には、一部商品の販売中止などを行うところもあります。
しかし、やっぱり私たちの食に欠かすことができない卵。一般家庭では「卵をいっさい使わない」という選択はなかなか難しいものでもあります。
なんとも厳しい状況が続く今ですが、そんな中、「卵個々の味わい」を追求し、「卵の生産者の声」の代弁する店を発見しました。期間限定で、各地を巡回しながら営業を続ける『幻の卵屋さん』という店です。
その店内は、日本全国から仕入れた約100種前後の卵が販売されています。
そして、それぞれの卵の特徴を示しながら、アレコレ選び比べながら楽しめる仕組み。
まさに「卵のセレクトショップ」とも言える店ですが、今回は同店を運営・展開する「日本たまごかけごはん研究所」代表の上野貴史さんに話を聞きながら、その中身に迫ります。
卵の物価高騰で「助かった人」がいる事実
「物価の優等生」として知られていた卵ですが、冒頭でも触れた通り、一時期よりも2倍近くの高騰になっているケースもあります。
報道はもちろん、一般家庭でもこの「卵高騰」を嘆く声は多いですが、他方で別の見方では「助かった」と思う人もいると上野さんは言います。
「『卵は物価の優等生』とずっと言われてきました。ですが、それは生産者の利益を削って保たれてきたものです。ようやく値上げが許される風潮になってきたので、多くの生産者さんは『助かった』と感じていると思います。もう価格が戻らなくても良いと思っている方も多いのではないでしょうか。
養鶏農家さんは現在も減少し続けており、このままでは後継ぎもおらず大手しか残らない世界になるという可能性も否定はできません。食料自給率の高い一次産業への厚遇をもっとするべきなのではないでしょうか」(上野さん)
言い換えれば、これまでの日本では、食料自給率の高い一次産業が首を絞められている状態が続いており、そのことで、かつての価格が保たれていたということ。
今回の高騰によって、これまでに苦しい思いをしていた生産者さんは「むしろ助かった」と思う人もいるようなのでした。