『幻の卵屋さん』は「高級卵バイキング」
こういった悲喜こもごもの中でも、『幻の卵屋さん』では、多くの生産者さんの思いに寄り添いながら、そして卵本来の楽しさ、魅力を多くの人に知ってもらおうと各地を巡回しながら奮闘していると言います。
「当初は、コロナ禍で卸先のなくなった卵生産者さんを支援するために始めました。全国各地の卵を1個単位で選んで詰め合わせ購入できる『高級卵バイキング』です。
通常、卵は6〜10個のパックで販売されていますので、違う種類のたまごを同時に食べ比べるというシーンが食卓にありませんでした。
しかし、卵は銘柄ごとに味も色味も香りも全然違います。白身が甘かったりしょっぱかったり、黄身に昆布の風味がしたりします。
そんなたまごの食べ比べができるのが最大の特徴です。そして『気に入った卵をその生産者さんから直接購入してもらう』のがゴールの取り組みです。
現在約100種類の卵を日替わりで仕入れており、店頭には毎日違う卵が数10種類並びます。実店舗は持たず、期間限定の催事出店のみで展開をしていることから『幻の卵屋さん』を名乗っています」(上野さん)
モーツァルトを聴かせて育てた卵があった!
というわけで、筆者も『幻の卵屋さん』でいくつかの卵を買って食べてみることにしました。写真の通り、一口に「卵」と言えども、まず見た目がだいぶ違います。
そして上野さんの話にもあった通り味わいもだいぶ異なりました。
「たまゆら琥珀」という卵は濃厚なコクで味わい深く、軽い火入れ調理だと、より美味しさが伝わるように思いました。
また、「夢美人」という卵は、なんとモーツァルトを聴かせながら育てた卵とのことで、味わいのバランスに優れている一方、上品な口当たりでした。
さらに、「米艶」という卵はレモンイエローの黄身が印象的で、北海道のお米が餌に採用されているとのこと。甘味と旨味に優れた卵でした。
そして、「夢王」という卵は「米艶」と対照的な強い赤みが特徴で、兵庫県のスーパープレミアム卵として知られるもの。見た目通りの濃厚な味わいが美味しい卵でした。