高校・大学の7年間に受けた奨学金を、積立投資へ回したら?
次に、奨学金を「投資」として活用する手法をご案内します。
それは「受給した奨学金と同額の資金を、そのまま積立投資に回す」ことです。「それは非合法なのでは…?」と思われるかもしれませんが実は、この借りたお金は前述にもお伝えした通り使用用途は特に決められておらず、たとえ学業のために使われるものでなかったとしても、社会に出てちゃんと返済すれば特に問題はありません。
そこで、『実際に子どもが受け取った奨学金と同額の資金を、積立投資に回せばどうなるか』をシミュレーションしてみました。
「高校・大学の7年間、毎月3万円の奨学金を受給し、同額を積立投資する。」「投資資金は毎年5%(※)の複利で増える」という条件で考えましょう。
※注:毎年5%の複利、という条件は、ここ30年における全世界株式の実績(約7%)よりもかなり低めの見積もりです。なお、日本学生支援機構の第2種貸与奨学金の金利は、令和5年3月時点での「利率見直し方式」で年利0.3%という超低金利です。
投資するかしないかで、7年間で50万円以上の開きが出ます。
この時点で結構強烈なグラフですが、子どもが30歳になった時点(奨学金受給開始から15年後)では以下のようになります。
奨学金貸与がなくなる大学卒業以降は積立投資を止めるとしても、その差は約200万円。差額で子どもの結婚式費用くらいは出てしまうレベルになることも想定されます。
筆者の長女は今年から高校生となり、無利子貸与の奨学金をきちんと申請しています。彼女の投資口座で毎月積み立てている投資信託の増額も手続き済みで、その口座のお金は彼女が社会人になった時点ですべて本人に渡す予定です。彼女の持つ「人的資産」と「金融資産」が大きく育ってほしいと願っています。
とは言え、本当に金銭的に苦しくて奨学金を利用する場合は、たとえ「奨学金=借金」と捉えずに「今しかできない経験や体験への自己投資によって人的資産を増やす」ことに注力したとしても、社会人になったら借りたお金を返していかなければならない事実が存在します。
そこには責任や計画性、覚悟が伴うこともしっかり念頭においておきましょう。
【執筆者プロフィール】 山田 圭佑
キッズ・マネー・ステーション認定講師/国格キャリアコンサルタント/ファイナンシャルプランナー技能士2級・AFP/琉球古典音楽 野村流伝統音楽協会 歌三線 師範/八重山古典民謡保存会 歌三線 教師東京都出身。大学入学と同時に沖縄県へ移住。大学卒業後、沖縄県庁にて18年間奉職した後にキャリアチェンジ。
現在は若年者に向けて就職支援サービスを行う企業のサラリーマンとして勤務する傍ら、フリーランスのキャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー・歌三線師範として幅広く活動。2022年7月に「KYお金と仕事の相談所」を開設。所長を務めている。