今ではすっかり定着化したアニメ・漫画の舞台・ミュージカル化、いわゆる「2.5次元」だけれど、このジャンルの代名詞といえば、やっぱり「テニミュ」こと「ミュージカル『テニスの王子様』」しかない。(ミュージカル『テニスの王子様』「テニミュ」イベントレポ・インタビュー記事まとめはこちら [https://ure.pia.co.jp/list/genre/custom?c=tennimu])
『忍たま乱太郎』や『戦国BASARA』など、2.5次元の人気タイトルは年々増え、それぞれに独自のファンを獲得しているけれど、テニミュは今年でなんと10周年。どんな作品でも10年続くというのは、やっぱり半端なことではない。その歴史を紐解きながら、魅力に迫ってみたい。
10年前、それは勇気ある先駆者たちの第一歩から始まった
テニミュの初演「ミュージカル『テニスの王子様』」が行なわれたのは、2003年春。それまでも、アニメ・漫画のミュージカル化がなかったわけではない。
たとえば、1991年にはデビュー直前のSMAPが主演した「バンダイスーパーミュージカル『聖闘士星矢』」があったし、「ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』」は1993年からロングランを続けていた。
さらにいえば、近年『銀河英雄伝説』や『逆転裁判』など、オタク寄りの作品も積極的に取り上げている宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』(1974年~)も忘れてはいけない。
けれど、テニミュの歴史は決して最初から順風満帆だったわけじゃない。初演は6日間、東京芸術劇場中ホールという決して広くはない会場からスタートした。
しかし、プロデューサーの片岡氏(当時)によると、初日の第一幕が終わるやいなや、携帯電話をひっつかんだ女の子たちが、ロビーで友達に興奮を伝え始めたという。そんな熱がクチコミで伝染し、チケットはどんどん売れ始めた。
このとき、会場に足を運んだのはどんな女の子たちだったのだろうか? 当時のキャストは舞台俳優中心で、現在の若手俳優と比べると、実力と安定感はあれど、アイドルって感じじゃない。ダンスも今と比べシンプルだ。たぶん、一部の原作ファンが試しに足を運んだのだろう。今なら分かる。彼女たちは、初めて納豆やワインを口にしてみた者と同じ、勇者であると。