平池芳正 監督の『ヲタクに恋は難しい』

監督・シリーズ構成/平池芳正、キャラクターデザイン/安田京弘

春アニメの「ノイタミナ枠」である『ヲタクに恋は難しい』は、同枠での監督作は初となる平池芳正さんが手掛ける作品。

佐藤順一監督作への参加で実績を残し、『カレイドスター』で監督デビューを果たした後は、『SoltyRei』や『AKB0048』のようなSFアクション、自然主義的なユーモアが光る日常コメディの『スケッチブック ~full color's~』、更には、『WORKING!!』『アマガミSS』といったラブコメまで、様々なジャンルを行き来しながら多様性のある作品を世に送り出してきた平池さん。

そのいずれもが安定感のある良作ばかりで、その職人肌かつ堅実な仕事ぶりに信頼の置けるアニメ作家のひとりです。

また、平池さんの作風で特別すべきポイントが、演出家出身のアニメ監督でありながら、脚本家としてシナリオも執筆している点です。

監督作で、シリーズ構成を務めることも多く、2014年に放映された『繰繰れ! コックリさん』では、監督と兼任する形で1クール、30分アニメの全話脚本を担当するという偉業も成し遂げています。

今回の『ヲタクに恋は難しい』でも、シリーズ構成としてクレジットされている平池さん。物語のハンドルの握り方にも注目していただければと思います。

山崎みつえ 監督の『多田くんは恋をしない』

監督/山崎みつえ、シリーズ構成・脚本/中村能子、キャラクターデザイン/ 谷口淳一郎

2014年に放映されるやいなや、その秀逸なラブ"コメディ"で、視聴者を抱腹絶倒の渦に巻き込んだ名作アニメ『月刊少女野崎くん』。その制作チームが再集結し、世に送り出されるオリジナルアニメが『多田くんは恋をしない』です。

山崎みつえさんは、『月刊少女野崎くん』以降、コンテや演出を手掛けていたものの、アレだけの大ヒット作を生み出していながら監督作がほとんどなかった為、『マジきゅんっ! ルネッサンス』(2016年)を挟んでの監督としての再登板は、ファンにとっても待ちに待った吉報になったかと思います。

スタッフクレジットを見てみれば、藤原佳幸さん(『GJ部』『未確認で進行形』『NEW GAME!』監督)が副監督として参加している点も要注目で、このお二方がどのようにオリジナルの物語を作り上げていくのか、とても楽しみです。

及川啓 監督の『ヒナまつり』

監督/及川啓、シリーズ構成/大知慶一郎、キャラクターデザイン/神本兼利

エンターブレイン発行の『ハルタ』連載作をfeel.制作によりアニメ化。監督は、アニメーター出身で、後にコンテや演出を手掛け、『みなみけ おかえり』(2009年)以降は監督しても活躍する及川啓さん。

及川さんは、この春『ヒナまつり』と『ウマ娘 プリティーダービー』の2作品で監督を担当されていますが、過去作である『この美術部には問題がある!』でのポップで明るいコメディが好きだった筆者としては、SFギャグ漫画が原作となっている『ヒナまつり』をプッシュしたいと思います。

『この美術部には問題がある!』では、そのエピソードの大部分で自ら絵コンテを担当するなど、画面作りに関する技術と表現力に富んだアニメ作家さんという印象がある及川監督。今作も画面を観ているだけでも楽しめる"間違いのない一本"になるのではないかな、と。

確かなアニメーションで各作品毎にファンを楽しませてきたfeel.の実直な作りにも期待大です。